梶川 喬介 | LO

KYOSUKE KAJIKAWA

梶川 喬介
梶川 喬介
ニックネーム かじ
生年月日 1987/9/5
身長(cm) / 体重(kg) 190cm / 110kg
足のサイズ(cm) 30cm
出身地 福岡県
星座 おとめ座
血液型 A型
略歴 福岡工業大学附属城東高校福岡工業大学
代表歴 日本代表(4)
在籍年数 14

梶川 喬介物語

※この物語は2022-2023シーズンにインタビューした内容です

 ラグビーになじみのある人なら、「ああ、ロックの選手だな」と感じるに違いない。
ひるむことなく相手に襲い掛かり、倒れてもすぐに立ち上がり、またタックルする。ロックとはハードなタスクを黙々と果たすポジションであり、梶川喬介はまさに「ロックなキャラクター」の持ち主なのだ。思慮深くて、言葉に重みがある。
 ラグビーの普及活動が盛んな福岡県で生まれ、2歳年上の兄の影響で楕円球に馴染んだ。福岡工大城東高校から福岡工業大学へ進んだ。社会人になってもラグビーを続けるかどうかを考えていたが、後藤義勝監督(現総監督)と話していくうちに道が開けていく。
「監督から好きなチームはないのかと聞かれて、FWなのでFWの強い東芝ブレイブルーパス東京にすごく憧れていて、『トップリーグのチームなら東芝ブレイブルーパス東京が好きです』と答えました。そうしたら、監督が大学のOBでブレイブルーパスでも活躍された冨岡鉄平さんに、話をしてくれまして。練習に参加させてもらうことになったんです」
 練習参加は2日間だった。与えられた時間は限られていたものの、梶川は当時持っているものをすべてぶつけた。
「練習参加は一生に一度あるかないかの機会でしたので、自分のベストを尽くそうと。レベルの違いを感じたんですけれど、思ったよりもできたところはあって、自分なりに手応えはありました。人生がかかったことなので、実力以上のものが出たのかもしれません」

 2010年度の新加入選手として、梶川は東芝ブレイブルーパス東京の一員となった。真新しい希望に全身が包まれているはずだが、いきなり大きな壁にぶつかる。
「1年目がいま振り返ると一番しんどかったですね。練習参加したときに、実力以上のものが出てやれたというのがあったので、徐々にメッキが剥がれていったじゃないですけど……。周りの先輩からサポートしてもらっていましたが、かなり苦しかったですね」
 それでも、2年目から試合に関われるようになっていく。「使ってもらって育ててもらったという感じです」と本人は謙遜するが、13年シーズンからは東芝ブレイブルーパス東京の4番を自分のものにしていく。15年には副キャプテンに指名された。
「冨岡さんが監督になって2年目に、副キャプテンになりました。ブレイブルーパスで副キャプテンをやらせてもらえること自体が、ものすごく光栄なことで。それまで務めてきたのはすごい選手ばかりですので……」
 記憶を辿り、どんな表現が適切なのか考える。冷静で慎重な梶川らしい「間(ま)」を経て、自分のことを脇に置いた。
「自分よりいまの副キャプテンのほうが、しっかりしている。プレー面はもちろんですが、それ以外のところでも周りのことを気にかけたりして、リーダーシップの面でも頑張っていると感じます」

 在籍13年目のシーズンを迎えている。
16年にはジェイミー・ジョセフHCのもとで日本代表に選ばれた。「ブレイブルーパスに入った当時は、そんな未来像はまったく予想できませんでした」と遠慮がちに話す。
何度かケガを経験した。キャリア7年目から8年目にかけては、グロインペイン症候群を発症した。股関節の炎症に悩まされた。
「復帰するまでに、半年以上かかりました。ちょうどジャパンに選ばれた時期で、早く復帰したいという焦りがありました。アスレティックトレーナーの滝田(陽介)さんが、リハビリなどに付き合ってくれて、そのおかげでしっかり治すことができました。滝田さんは自分の時間を使ってでも、選手のケアをしてくれるんです。ホントに頭が上がりません」
 在籍13年目は、チーム最年長の35歳であることを意味する。「先のことは考えないようにしています」と、控え目に笑った。
「自分が持っているものは、すべて出そうと思っています。(キャリアの)終わりのことも過るかもしれないですけど、シーズン中はそういうことを考えないようにしています」

 ラガーマンとしての矜持を問われると、自身の「間」に入る。じっくりと考えてから、自分なりの言葉で答える。
「……まずは行動で示す、ということですね。先輩方もそういう人が多かったので。パフォーマンスは身体を張ることもそうですし、S&Cの設定値もそうですし、持っているものを毎回出し切ることを意識しています」
 もう一度ラグビー人生を過ごすとしたら、やはり東芝ブレイブルーパス東京でプレーしたいと思う。「他のチームのことは分からないので、比較はできないのですが」と前置きをして、揺らぎのない口調で答える。
「やっぱりこのチームに憧れて入ってきて、心の優しい人たちに囲まれてきました。キャラクターの強い先輩もいましたけれど、ちょっとしたときにアドバイスをもらったりしたものです。僕にはこれ以上のチームはない。いまのチームはトッドHCが時間をかけてやってきたものが、形になってきています。ホントに才能のある若い選手がたくさんいますし、素晴らしいコーチ陣も揃っているので、これからのブレイブルーパスはもっともっと良くなると思います」

 取材の最後に「何か話したりないことはないですか?」と聞かれると、「いえ、大丈夫です」とすぐに返答する。身体を覆っていた緊張が、一気に抜け落ちたようだった。
ロックというポジションで国内トップレベルを生き抜いてきた男は、どこまでも控え目で一本気なのである。
(文中敬称略)
(ライター:戸塚啓)

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