【物語りVol.147】リーグワン第16節レビュー
「自分たちがコントロールできること」に集中する

 

 

■「次の試合への元気が出る締めくくりに」

最後の最後まで戦い続ける、という意思を示しました。

NTTジャパンラグビーリーグワン2024-25 第16節の浦安DR戦が、4月25日に秩父宮ラグビー場で開催されました。今シーズン初めての、そして唯一のナイトゲームです。

キックオフから18分までに、3つのトライとコンバージョンを重ねました。その後は2つのトライを許し、前半を21対14で折り返します。

後半も開始からトライを奪っていきます。浦安DRに得点を与えずに、スコアを拡げていきました。

後半6分から出場したSH小川高廣選手は、「前半に3本取って2本取り返されて、ちょっと嫌な雰囲気かなという感じもしましたが、ハーフタイムのロッカールームではみんな落ち着いて話していました。後半に入ってリズムも取れました」と振り返ります。最終的には、61対19まで点差を拡げたのでした。

HO原田衛選手は、今シーズン2敗目を喫した前節を受けての準備に触れます。

「自分たちのアクションにプライドを持ってやり抜こう、というテーマを掲げました。自分たちのアタックのアライメントに、プライドを持ってやろうと。オフロードで相手にチャンスを与えてしまいましたが、それ以外の部分ではしっかりいいアタックができたかなと思います」

この日最後のトライは、後半43分に生まれています。終了のホーンが鳴ったあとのマイボールスクラムから、ボールを蹴り出さずにプレーを続けます。果敢なボールキャリーを繰り返したCTBセタ・タマニバル選手が、右スミへ力強く腕を伸ばしたのでした。

キャプテンのNO8リーチ マイケル選手は、最終盤のプレー判断についてこう話しました。

「今シーズンをとおして、最後の最後まで、勝っていても負けていても戦い続ける、戦いたいという意思が強い。みなさんがいいラグビーを観に来ているので、そういう姿を見せたかった」

タマニバル選手のトライ後には、SOリッチー・モウンガ選手が難しい角度のコンバージョンをきっちり決めました。頼れる司令塔も、最終盤のチームの姿勢を評価します。

「勝利は確定していましたし、ボーナスポイントを取れることも理解していました。そのなかで、最後にトライを取って終わる、いい形で終わることを目ざしたので、次の試合に向けても元気の出る締めくくりになったのかな」

 

 

 

 

 

 

■桑山聖生選手が公式戦2年ぶりの出場を果たす

この試合ではWTBジョネ・ナイカブラ選手が、メンバー発表後に先発から外れました。代わってリザーブに名を連ねていたWTB桑山聖生選手が、14番を着けました。桑山選手の公式戦出場は、23年2月以来となります。

「リザーブからスタートということで、コーチからもいいチャレンジだと言われて、僕もポジティブにとらえました。試合がすごく楽しみで、スタートで出られることに感謝して臨みました」

緊張は「あまりなかったですね」と笑みをこぼします。「それよりも、自分がやるべきことを意識しました」と続けました。

試合に出られなかった日々を、「自分の成長に充ててきた時間」と位置づけます。ネガティブな思いにとらわれることはなく、「自分がうまくなれば、試合に出られる」とのモチベーションを燃やし続けてきました。

後半20分までのプレーで、成長を感じることはできたのでしょうか。

「そうですね。自分が取り組んできたものを、出すこともできました。そこはまたチャンスが来たときに、自信を持ってプレーできるかなと思います」

 質問に答える口調は、終始落ち着いたものでした。喜びや興奮はもちろんあるのでしょうが、自分のプレーを冷静に分析できていたのでしょう。次の出場機会が楽しみです。

 

■豊島選手は今シーズン初スタメンでトライ!


FB豊島翔平選手は、今シーズン5度目の出場で初めての先発となりました。試合後の記者会見でその起用について問われたトッド・ブラックアダーHCは、「理由は非常にシンプルです」と切り出します。
「トヨ(豊島)は練習からすごく良かったですし、チームをしっかりとリードしてくれています。直近の試合でもリザーブに入っていたので、(松永)拓朗がアウトになったその瞬間にトヨだ、と決まりました。今日は巡ってきたチャンスをしっかりとつかんでくれたパフォーマンスでした」

豊島選手の先発出場は、昨年3月以来でした。本人は経験者らしいメンタリティを明かします。

「そんなに気負うことはなく、来たか、という感じでした。その前に4試合リザーブで、出場時間は短かったですけど先発メンバーのリッチー(・モウンガ選手)やセタ(・タマニバル選手)と一緒にやる機会が増えていたので、心配なく臨めたというのはありました。気持ちの部分はつねに出られる準備はしていて、メンバーになったからといって何か慌てるようなことはなかったですね」

後半13分には、23年3月以来となるトライを決めています。後半26分にピッチを退くまで、充実感溢れるプレーを披露しました。

「スタートから出てラグビーは楽しいな、って思いました。この思いがあるので、まだまだ先発を狙っていきたいですし、まだまだラグビーをやりたいなって思いますね」

同期入団のリーチ選手について聞かれると、PR三上正貴選手、HO森太志選手の名前もあげて答えます。お互いの存在が刺激となり、支えにもなっていることが伺えます。

「同期の彼らは自分のポジションの先頭に立って、練習から身体を張っている。自分自身も同じように先頭に立っていこう、という気持ちです」

健在ぶりを示した豊島選手の、さらなる活躍に期待です。

 

 

■「自分たちのラグビーにフォーカスして」

レギュラーシーズンは残り2試合となりました。東芝ブレイブルーパス東京は、2位に勝点1差の勝点61で3位です。プレーオフトーナメントに準決勝から出場できる2位以内を、最終的に確保したいところです。

2位と3位の違いについては、当然のことながら選手たちも理解しています。そのうえで、シーズン開幕から一貫してきた「1戦、1戦」のマインドは揺らぎません。

杉山選手が話します。

「トディー(トッドHC)からも今週の初めに、『順位とか他のチームの結果が気になるだろうけど、自分たちのラグビーがどういうものか、もう一回フォーカスして1試合ずつやっていこう』という話がありました。1戦、1戦ですね」

小川選手も「自分たちの試合に集中するだけです」と、言葉に力を込めます。豊島選手も「自分たちがコントロールできることをコントロールする、という思いでやっていきたい」と、落ち着いた口調で語りました。

豊島選手のスタンスに、モウンガ選手も納得の表情を浮かべます。

「プレーオフを考えたくなることはあるけれど、目の前のことに集中することが必要かな。自分たちがコントロールできることは次の試合に勝つこと。そこに意識を集中したい」

次節は相模原DBとのビジターゲームです。プレーの一貫性やチームの一体感、ゲームプランを遂行する力やレジリエンスといったものを大切にしながら、東芝ブレイブルーパス東京はレギュラーシーズンを最後まで駆け抜けていきます。

 

(文中敬称略)
(ライター:戸塚啓)

【連載企画】東芝ブレイブルーパス東京 「物語り」
・物語り一覧はこちら


 

次戦のホストゲームは、5/10(土)に秩父宮ラグビー場にて、横浜キヤノンイーグルスと対戦します。
リーグ戦も最終戦となり、プレーオフの組み合わせにも大きく影響する重要な一戦となります。

会場で皆さまの熱いご声援をよろしくお願いします!!

関連リンク

LINK

パートナー

PARTNER

このページのトップへ