【マッチプレビュー】特別なことはしない。準備してきたものを出し切る。

 若きバイスキャプテンが、熱い思いを明かしました。
 NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1第1節、対静岡ブルーレヴズ戦を12月9日に控え、7日に出場選手の事前取材が行なわれました。今シーズンからバイスキャプテンに就任した原田衛選手が、クラブを代表して登壇しました。
「チームの雰囲気はいい」と切り出します。そのきっかけとなったのが11月25日のプレシーズンマッチ、クボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦でした。昨シーズンの覇者から、50対28の勝利をつかみました。
「クボタに勝利してから、いい準備というのをみんなが分かってきて、しっかり1週間、相手チームに対して準備するというところが、みんなできてきています。ホントにいい雰囲気で準備できていると思います」
 試合へ向けた準備が磨かれてきただけでなく、積み上げてきたものへの手ごたえもつかんでいます。
「自信はもともとあったんですけれど、クボタ戦を経てそれが確信に変わって、これでやっていけば優勝できる、というところまでみんなの気持ちがきたと思います。あとはもう実行力とやり続けることが、今シーズンは重要になってくるので、どんな相手でも同じスタンダードでやっていきたいと思っています」
 静岡ブルーレヴズ戦に向けては、「セットプレーが重要になってくる」と話します。
「静岡ブルーレヴズのスクラム、ラインアウト、モール、その対策はしっかりしてきました。それをぶつけるだけです」
 バイスキャプテンとしての仕事については、オールブラックスのふたりが合流したことで変化が生まれました。笑みを浮かべながら語ります。
「リッチー・モウンガとかが来てくれたおかげで、僕の仕事量は極端に減り(笑)、何もすることがないような状況になっています。負担はものすごく減りました。リッチーやリーチ(マイケル)さんが話せば、チームはおのずとまとまってくる。だいぶ楽になっています」
 モウンガ選手とシャノン・フリゼル選手は、ピッチの内外で存在感を発揮しているようです。
「ふたりともスタンダードのレベルが高い。リッチーはブレイブルーパスがどういうラグビーをしたいのか、それをするためにどうしたらいいのかを、ハドルなどで発信してくれます。チームがいい方向へ向かっていくような発信をしてくれていますね。シャノンはノニーと呼ばれていて、コンタクトプレーでのフィジカルが圧倒的です。そこで見せてくれると思います。

 10年ぶりにキャプテンに就任したリーチ選手との関係は、「これまでとあまり変わりはありません」と説明します。ただ、チームの練習後に、ふたりでコンタクトフィットネスに取り組むようになっています。「それまではリーチさんがひとりでやっていたんですが、僕もそういうのをやりたいなと思って、お願いして一緒にやらせてもらっています」とのことです。ともに過ごす時間を通して、コミュニケーションも深めていくのでしょう。
「リーチさんの発信はユーモアもあり、核心を突いている印象は以前と変わりません。いつもいいことを言うなあ、と思って聞いています。たとえば、この前の試合はアップがあまり良くなかったんですけど、まずはファーストプレーを意識させる発信をして、そのとおりに試合で最初のプレーからうまくいきました。みんなの気持ちにスイッチが入るような発信をしてくれるんです」
 リーグ戦は16試合の結果の積み重ねですが、開幕節は特別な意味を持ちます。「チームとしても初戦が一番大事なので、そこへ向けて一人ひとりの気持ちも上がってきているかなと思います」と、原田選手も引き締まった表情を浮かべます。
 そのうえで、平常心を強調しました。
「開幕戦とかそういう試合では、緊張したりいいプレーをしようとしたりして、特別なことをやろうと思うところがありますが、特別なことをしないのが一番重要かなと思っています。普段どおりのプレー、僕らがいままでプレシーズンにやってきたことを、どれだけ出せるかが勝敗を分ける。そこに徹したいなと思っています」
 闘志をたぎらせながらも力むことなく、準備してきたものを出し切る。チームメイトとつながり、ひたむきに勝利を目ざす。原田選手の熱い思いは、チームの全員が心に刻んでいるものと言っていいのでしょう。

(ライター:戸塚啓)

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