【物語りVol.137】リーグワン9節レビュー レギュラーシーズン前半を2位で折り返す

■「相手がやってくることに、しっかりアジャストしないと」
厳しい試合を制しました。
NTTジャパンラグビーリーグワン2024-25 第9節、BR東京戦が2月22日に秩父宮ラグビー場で開催され、東芝ブレイブルーパス東京は45対44で勝利しました。レギュラーシーズンの通算成績は7勝1分1敗の勝点34で2位をキープし、首位の埼玉WKを追走しています。
試合の入りは申し分ないものでした。開始から1分も経たないうちにWTBジョネ・ナイカブラ選手がトライを決め、28分までに4つのトライをあげて26対8とリードします。
その後は連続してトライを喫し、26対18で前半を終了します。後半も開始からふたつのトライを許し、54分に26対30とスコアを引っ繰り返されました。直後にCTBロブ・トンプソン選手のトライで再びリードしますが、66分にそのロブ・トンプソン選手がイエローカードを受けて数的不利に立たされたこともあり、なかなか突き放すことができませんでした。
試合後に取材に応じたFL德永祥尭選手は、「本当に勝ち切れて良かったなというのが正直なところです」と切り出します。「相手が僕らを分析して、うまくやってきたとも言えますが、それに対してきれいに取られ過ぎた。相手がやってくることに対して、しっかりアジャストしないといけないと感じました」と反省を口にしました。
自身はここまで6試合に途中出場し、この試合で今シーズン初めてスタートの15人に名を連ねました。「楽しんでプレーしよう。変に気負わずに、自分らしいプレーをしよう」というマインドセットは、経験豊富な德永選手ならではのものだったでしょう。
一方で、こんな話もしています。笑みもこぼしました。
「リザーブだと6番、7番、8番のカバーになるので、いつもよりストレスがだいぶ少なかった。6番と7番に集中できて、ひとつ減ったことで自分にフォーカスしやすかったかな、というのはありますね」
この試合でレギュラーシーズンの半分を消化しました。
「アタックはもう、みなさんに見てもらっているとおり、すごく面白いものを出せていると思います。ボール持ったらたぶん全員が、トライを取れる絵が見えているような。ただ、ディフェンスのところで、相手に分析されたとおりにやられてしまっているので、相手がうまくやってきたところにも、しっかり対応していかないと。今日は抜かれた後に追うのをやめちゃっている選手がいたりしたので、早く帰ってコネクションをとって、ブレイダウンを遅らせて自分たちのディフェンスの形へ持っていく、というのが課題だと思います」

■「やっとスタートラインに立てた」
LO小鍛冶悠太選手も、「まずは、勝てて良かったです」と話します。「今日だけじゃなく毎試合競っていて、どの試合でもうまくいく時間とうまくいかん時間は必ずある。リーグ内の力が拮抗しているのもあるので、勝てたのはホンマに大きい」と続けました。
試合後の選手たちは、K9と呼ばれる試合メンバー外選手の貢献に触れます。小鍛冶選手も「それはメチャクチャあります」と力強く頷きます。「プレーで相手の想定とかをちゃんとやってくれるし、いい刺激も与えてくれます」と語り、チームの支えになっているとの考えを明かしました。

SH杉山優平選手はレギュラーシーズンの前半戦について、「昨シーズンより進化した自分たちの形を、少しずつ出せているのかな」と振り返ります。静岡BRに喫した前半戦唯一の黒星も、プラスにとらえています。
「あの負けをきっかけに自分たちの改善点が見つかって、改善することといいところを伸ばすことを、並行してやれているのかなと思います」

その杉山選手に代わって、52分から出場したのはSH小川高廣選手です。ケガによる長期の戦線離脱を乗り越え、昨年1月のトヨタV戦以来となる実戦復帰を果たしました。試合後には「戻ってこられてホントに良かったな、という感じです」と、安どの表情を浮かべました。
58分にはスクラムからランで抜け出しました。その後も復帰戦とは思えない冷静かつ的確なプレーを披露しました。
「あのランの場面は、自分の足の遅さにびっくりして。もうちょっといいランニングをしたかったんですけれど、いまはまだあんな感じです」
実はまだ、トップスピードで走ることはできていません。「何とかゲームはできるかな、というぐらいまで戻ってきたところです」と、自身のコンディションを説明しました。
「今日はもうホントにバテバテで、ゲームをやっていないと、ゲームフィットネスがこんなに落ちるのか、と。でもやっぱり、やっとスタートラインに立てたというのはあります。ここから徐々に、上げていきたいなと思っています」

■「鹿児島で僕たちのDNAを見せたい」
3月1日に行なわれる第10節は、鹿児島県・白波スタジアムでのホストゲームです。3位のS東京ベイとの上位対決です。
リーチ マイケル主将はBR東京戦後の記者会見で、「我々のセカンドホストエリアとも言える鹿児島で、S東京ベイとの試合です。そこへ向けて準備をして、(6節から10節までの)このブロックを勝って終わりたい」と勝利への意欲を表わしました。
秋季キャンプ地として縁深い鹿児島でのホストゲームを、どの選手も待ち望んでいます。德永選手はこう話します。
「合宿で鹿児島を訪れるたびに、チームをサポートしてくれる方々、スポンサーのみなさんの存在を感じます。第二の故郷と言える場所で、ラグビーできるのはすごく嬉しい。しっかり勝って、鹿児島のみなさんと喜びたいですね」
小鍛冶選手は「鹿児島、大好きです」と声を弾ませます。だからこそ、好プレーを誓います。
「僕たちのDNAを見せたいです。いままでどおりに、泥臭く、東芝らしいプレーを全員で」
杉山選手も「思い入れのある場所です」と頬を緩めます。東芝ブレイブルーパス東京の公式戦を楽しみにしている人たちのためにも、「いつもどおり」の姿勢で臨みます。
「思い入れのある場所で試合ができるという喜びはありますが、自分たちのやるべきことは変わりません。環境の変化はありますけれど、自分たちの形をしっかりと出せるように、落ち着いて自分たちらしいラグビーを展開したいですね」
対戦相手のS東京ベイとは、勝点差がわずかに「1」となっています。レギュラーシーズンでの対戦は今回のみとなっており、しっかりと勝ち切りたい試合です。
小川選手はこれまでの経験を踏まえ、気持ちを引き締めています。
「鹿児島での試合はホーム感があり過ぎるのか、ちょっとまったりしちゃうようなところがあります。今回はクボタさんとの試合で、お互い負けられない。僕たちを応援してくれる鹿児島のみなさんの前で、しっかり戦います」
バイウィーク前最後の一戦となる鹿児島でのホストゲームは、3月1日13時にキックオフされます。
(文中敬称略)
(ライター:戸塚啓)

次のホストゲームは、3/1(土)に鹿児島・白波スタジアムにて、クボタスピアーズ東京・船橋ベイと対戦します。
ぜひ会場で皆様の熱いご声援をよろしくお願いします!!
【連載企画】東芝ブレイブルーパス東京 「物語り」
・物語り一覧はこちら