【物語りVol.141】リーグワン第12節レビュー
首位浮上も「1戦、1戦」のマインドで3.30札幌ホストゲームへ

■埼玉WK撃破は「自信になります」
自信を深める勝利を、全員でつかみました。
NTTジャパンラグビーリーグワン2024-25 第12節の埼玉WK戦が、3月22日に東京・秩父宮ラグビー場で開催されました。2位の東芝ブレイブルーパス東京が首位の埼玉WKを迎えるとあって、試合前からスタジアムは熱気に包まれていました。
東芝ブレイブルーパス東京はキックオフから敵陣でプレーし、4分にFLシャノン・フリゼル選手がインゴールへ。FB松永拓朗選手がコンバージョンを成功させ、7対0とします。
27分にHO原田衛選手が左隅へ飛び込み、33分にはPR小鍛冶悠太選手がゴール下へもぐり込んで、3連続トライとします。松永選手のコンバージョンキックも決まって21対3と点差を拡げますが、39分に21対10とされます。直後の40分、SH杉山優平選手がトライをあげ、松永選手のコンバージョンも成功して28対10で前半を折り返しました。
後半開始から10分までに点差を積められますが、55分に原田選手がこの日2本目のトライを奪います。72分には途中出場のSH小川高廣選手が冷静な状況判断でチームに5点をもたらし、松永選手のコンバージョンも決まって42対24とリードを保ちます。最終盤にトライを喫して42対31とされますが、そのまま最後のホーンを聞きます。埼玉WKとのレギュラーシーズンの試合で、14年12月以来となる勝利をつかんだのでした。
前回のパナソニックとの対戦(2/9:第7節)で50キャップを記録した小鍛冶選手は、「出られない時期もあって50キャップを目ざしていたなかで、感謝をより深く実感しました」と話しました。東芝ブレイブルーパス東京加入後初となるトライには、「気持ちいいですね。長かったですね」と笑みをこぼしました。
「(パスをつないでくれた)シャノンはオプションを持っているので、常に顔を出してやっていたらトライするチャンスはあるかな、と思いました」
杉山選手は今シーズン初トライです。11分のトライがTMOでキャンセルされていたからか、力強いガッツポーズを見せました。
「というよりも、相手に1本取られたあとだったので、あのタイミングでワントライ取るのはすごく大きいと思ったので、自然と力が入りました」
この試合の勝因のひとつに、ラインアウトのディフェンスがあげられでしょう。SOリッチー・モウンガ選手も、「そこはすごく良かったです。ワーナー(・ディアンズ)とジェイコブ(・ピアス)をはじめとして、しばらく前からずっと取り組んできたことが、結果として表われていました」とFW陣の奮闘を讃えました。
モウンガ選手が名前をあげたLOディアンズ選手は「相手のコールも自分たちがついていた場所だったので、分析はしていましたけど、ちょっとラッキーだったかなと思います」と控え目に分析します。
2月の埼玉WK戦は、前半30分過ぎから追いかける展開で一度はスコアを引っ繰り返し、最終的に同点で終えました。今回はつねに先行する展開での勝利です。ワーナー選手は「自信になります」と言います。
「2試合連続で負けていない、去年のプレーオフから3試合連続で負けてないっていうのは、自信になると思います」

■「自分たちのラグビーをすることが勝利につながる」
この勝利でレギュラーシーズンの通算成績は10勝1分1敗となり、勝点を「46」に伸ばしました。9勝1分2敗で勝点45の埼玉WKをかわし、今シーズン初めて首位に立ちました。それでも、選手たちは冷静に受け止めています。
小鍛冶選手は「1位になったことを実感しつつも、1試合、1試合、引き締めてやっていきます。自分たちのラグビーを、東芝のラグビーを、80分のなかでどれだけ長くできるか」と、落ち着いた口調で話しました。杉山選手も表情を変えることなく語ります。
「埼玉WKに勝ったことを自信にしたいですけれど、何か変わるということはなくて、自分たちのラグビーをすることが勝利につながると思います。ここまで自分たちから崩れたらうまくいかない、というのがあるので、相手どうこうというのはありますけれど、やっぱり自分たちがどういうラグビーをしたいのか、ということを大事にしていきたいですね」
リザーブから出場した伊藤鐘平選手もこう話します。
「1位になったというよりも、埼玉WKに勝ったことが大きいですね。来週の試合でもクオリティを下げず、これをスタンダードにしていきたいです。先のことは考えずに、これまでと同じように1戦1戦、大事に戦っていきたい。向かってくる相手をぶちのめすのは、東芝に合っていると思うので、そういうマインドでやっていきたいと思います」
次節は3月30日(日)に行われ、三重ホンダヒートを迎えるホストゲームです。舞台は大和ハウス プレミストドーム(北海道)となります。
札幌山の手高校出身の伊藤選手は、この試合を心待ちにしています。
「高校3年間お世話になった札幌での試合なので、ラグビーを観に来てくれる人たちには、まずリーグワンの試合を楽しんでほしいです。僕のことを知っている人たちには、自分の成長ぶりを見せられたらと思います」
高校卒業後も札幌を訪れたことはあるという伊藤選手ですが、試合をするのは初めてとのことです。気持ちは高まります。
「友だちからはもうすでに、SNSなどでメッセージが届いたりしています。山の手高校の恩師も観に来てくれるとのことなので、いいプレーを見せたいですね」
東芝ブレイブルーパス東京はホストゲームで23-24シーズン開幕節からこの埼玉WK戦まで、14戦負けなし(13勝1分)と不敗を続けています。30日の札幌でもリーグワンのレベルの高さやラグビーの魅力を観衆に伝えながら、チーム一丸となって勝利を目ざします。
(文中敬称略)
(ライター:戸塚啓)

【連載企画】東芝ブレイブルーパス東京 「物語り」
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次戦のホストゲームは、3/30(日)に大和ハウス プレミストドーム (北海道)にて、三重ホンダヒートと対戦します。
是非会場で皆さまの熱いご声援をよろしくお願いします!!