【物語りVol.158】神戸Sをノートライに抑えて快勝!!自信を深めてファイナルへ臨む

■「いかにつながるかを意識して」トンプソン選手が先制トライ
大きな壁を越えて、ファイナルへの自信を深めました。
NTTジャパンラグビーリーグワン2024-25 プレーオフトーナメント準決勝が、5月24日に秩父宮ラグビー場で開催されました。対戦相手はレギュラーシーズン5位のコベルコ神戸スティーラーズです。
開始3分、神戸Sにペナルティゴールで先制されます。13分、SOリッチー・モウンガ選手の「50:22」で得たラインアウトモールから、FL佐々木剛がトライゾーンへ身体をねじ込みます。しかし、TMOでその前にノックフォワードがあったとして、トライがキャンセルされました。それでも、直後の15分にCTBロブ・トンプソン選手が抜け出して中央にトライを決めます。
トンプソン戦が振り返ります。
「自分は上がりたいタイプで、自分だけが上がってしまって周りに迷惑をかけてしまうところがありました。今日はいかにつながりながら上がれるのかを意識して、その結果としてトライできました」
モウンガ選手がコンバージョンキックを確実に蹴り込み、7対3としました。
前半はこのまま終了します。拮抗したスコアで折り返しましたが、選手たちのメンタルが波打つことはありません。14節の対戦で73対28と大勝していたことで、この試合へ向けて相手が修正してくることは想定済みだったからです。
FB松永拓朗選手が話します。
「僕は前半もっと競ると予想していたし、何なら同点で折り返してもおかしくないと思っていた。トライを取らせなかったのは一番良かったところで、後半勝負やなって」

■リーチ主将は「タックルの質にこだわった」
松永選手の言葉どおりに、チームは後半開始とともにさらにギアを上げていきます。後半3分、NO.8リーチ マイケル選手のパスをWTB桑山聖生選手が右大外で受けてトライへ持ち込みます。
モウンガ選手がコンバージョンを成功させて14対3とすると、9分には相手ペナルティの場面でショットを選択します。レギュラーシーズンではほとんどペナルティゴールを狙わなかったのですが、リーチ選手は「ここはスコアで相手にプレッシャーを与えようと考えました」と説明します。モウンガ選手が距離の長いショットを成功させ、17対3とリードを拡げました。
その後も試合を優勢に進め、終盤に試合を決定づけます。35分、リザーブから出場のHO橋本大吾選手が、中央を突破してトライゾーンへダイブします。さらに40分、トンプソン選手がこの試合2本目のトライをゲットし、31対3でノーサイドを迎えたのでした。5本のゴールをすべて成功させたモウンガ選手が、プレーヤー・オブ・ザ・マッチに選出されました。
神戸Sをノートライに抑えての快勝です。リーチ選手は「とにかくディフェンスを頑張ろう、タックルの質にこだわろうと話していました」と、チームのマインドについて説明しました。LOワーナー・ディアンズ選手は「自信になります」と言葉に力を込めます。
「神戸はアタッキングラグビーをしてくるチームで、攻められる時間も多かったけど、戻ってディフェンスするのは良かったです。ファイナルへ向けていい準備、いい自信になると思います」
佐々木選手もディフェンスに触れます。
「チームとしてみんなでつながるというか、一人ひとりがあまり飛び出すことなく、お互いを感じながらディフェンスできたことが、スコアに表われたのかなと思います」
神戸Sを退けるための準備を、ハードかつ緻密にやってきた成果が発揮されたのでしょう。佐々木選手も「そうですね」と頷きます。
「この1週間、フィジカルにくる相手に対してフィジカルの部分をしっかり準備しようと。マインドセットの部分も、しっかり準備できたと思います」

■戦列復帰の松永選手は「もっとやれた」と悔しさをにじませて
後半35分に勝利を決定づけるトライをあげた橋本選手は、「チームとして練習で取り組んでいる部分が出せました」と、胸を張りました。
「ちっちゃいスペースでも絶対にこじ開けることはできる。あのトライも自分がというよりも、今年のアタックの特徴が出た場面かなと思います」
橋本選手のトライ直前には、前半終了直前から途中出場したCTB眞野泰地選手が価値あるスティールを見せています。常日頃から意識しているワンプレーへのこだわりが、大きなプレーにつながりました。
「ラグビーって本当に流れのゲームで、1個のペナルティとか1個のプレーで全然変わるので、自分はそれを意識して、流れが悪い時にはそれを断ち切るように、いい時にはもっと乗れるように練習をしています。そういうプレーができたのは良かったと思います」
レギュラーシーズンの15節を最後に戦列から離れ、4試合ぶりの出場となった松永選手は、「チームを離れていたぶん、こうしてラグビーができることがどれだけ幸せなのかを、改めて感じることができました」と、言葉に熱い思いを込めます。自身のプレーについて聞かれると、「もっとやれたと思います」と、悔しさが表情に刻まれました。
「前半の最初からもっとボールに触りたかったのですが、その位置になかなか来られなかったというのと、リッチーとの関わりも自分的にはもっとできたと思っています。ファイナルでは積極的に、もっとボールをもらいにいきます」
24-25シーズンの集大成となるファイナルへ、今週も最高の準備をして6月1日を迎えます。
(文中敬称略)
(ライター:戸塚啓)

【連載企画】東芝ブレイブルーパス東京 「物語り」
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プレーオフ準決勝、神戸S戦は、31-3で勝利し、6/1(日)に秩父宮にて行われる決勝戦に駒を進めることができました。
いよいよシーズン最終戦となる決勝戦となります。
皆さまの熱い応援で会場を赤く染めていただき、連覇に向けてともに戦いましょう!