【物語りVol.162】今シーズンも「唯一無二の存在感」を目ざして

■リーグワン開幕戦へ『4万人プロジェクト』を発動!!

9月25日、東芝ブレイブルーパス東京は定例記者会見を開きました。2025-26シーズン初の会見となります。今回は薫田真広代表取締役社長兼GM、佐川文彦事業運営部部長、それに藤井淳アシスタントGM兼採用の3人が出席しました。
 最初に薫田社長より、2025-26シーズンの事業目標が発表されました。売上高の目標は、「8億円以上」に設定されました。前シーズンの7憶2000万円を受け、さらに大きな数字となっています。
「世界で一番成功を収めているフランスのトップ14では、14チーム中11チームが50億円強の事業規模でやっています。これからのリーグワンの発展を考えたときに、しっかり足元を見つめながら自分たちで稼ぐ力、稼ぐ環境をどう作っていくのか。今シーズンについては、8億円を稼ぐ力を持とうという目標です」
 事業収入の大きな柱となるのは、ホストゲームのチケット収入です。有料観客者数は24-25シーズンの1試合8500人から500人上乗せし、9000人を目標とします。
 有料観客数増への力強い第一歩として、壮大なプロジェクトを立ち上げました。
NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26の開幕戦となる12月14日の埼玉パナソニックワイルドナイツ戦で、4万人の動員を目ざします。舞台は味の素スタジアムです。
クラブが主管するゲームで、4万人はリーグワン未達の数字です。薫田社長は「ゲームの質を高め、ラグビーの価値を高めるのは我々の使命」と話し、『4万人プロジェクト』を発表しました。
プロジェクトのコンセプトは『ONE FESTIVAL』です。その中身について、薫田社長が説明をしていきます。
「細かなコンセプトは6つあり、ひとつ目は『リーグワン王者同士が繰り広げる日本一のラグビー』です。パナソニックさんはトップリーグ時代からリーグを、日本ラグビーをリードしてきました。開幕戦の相手としては最高で、リーグワンで一番質の高いゲームをお見せしたい」
 ふたつ目は『世界No1の司令塔リッチー・モウンガが日本で見られるラストシーズン』です。薫田社長は「開幕戦は非常に調整が難しい。そのなかで、どんなパフォーマンスを見せるのか。私自身もファンのひとりとして楽しみにしています」と期待を口にします。
 3つ目は『2連覇を支えた日本一愛のあるファンが作り出す温かい雰囲気の会場』です。薫田社長は「ONE Lupusのみなさんは日本一です」と力強く語り、このコンセプトの意味をこう明かします。
「温かい雰囲気の会場というものは、ラグビーの良さとして我々が大切にしてきたものです。パナソニックさんのファンの方々とともに、最高の雰囲気を作っていきたいです」
 4つ目は『選手やOBによる、規模も種目も人数も日本一のラグビー体験』です。東芝ブレイブルーパス東京のホストゲームでは、ルーパスガーデンでのラグビー体験コーナーが人気です。薫田社長は「集客とラグビーの普及」を念頭に、「ファミリー層にいかに楽しんでもらうか」を重要視しており、「日本一の体験をしていただけるオフザフィールドを作っていきたい」と意欲を表わしました。
 5つ目は『ラグビー界初、東京都初の犬と一緒に観戦できる最大数のドッグシート』です。世界有数のユニークなラグビークラブを目ざす、東芝ブレイブルーパス東京らしい試みでしょう。薫田社長は「プロ野球などですでに実施されていますが、東京都で初めて、ラグビー界で初めてなります」と言います。味の素スタジアム1階北側に、3000席から4000席が用意される予定です。
 続いて、2025-26シーズンの事業スタッフの新体制について説明がありました。定例会見に合わせて公式サイト上で発表されたように、8月末付で退任した星野明宏プロデューサーが副社長に着任しました。
「7月のタイミングで8月末での退任が発表されましたが、契約満了後に新たに就任してもらいました」とのことです。大手広告代理店勤務、ラグビーU17、U18日本代表監督、私立学校校長といった星野氏の多彩なキャリアに触れ、薫田社長は「日本ラグビー、リーグワン、そして我々のプランに、いま一度貢献してもらいたい」と期待を寄せています。



■リーグワン初のデジタルトレカを発売!!

続いて、事業運営部の佐川文彦部長がマイクに向かいます。リーグワンのチームで初めてとなるデジタルトレカを、10月8日からリリースすることが発表されました。その名も『BRAVE LUPUS デジタルトレカ-猛勇狼士録-』です(記者会見当日の9月25日に、公式サイト上でも発表済み)。
 佐川部長は「デジタルなのでスマートフォンにすべて入れて、持ち歩くことができます。また、同じ愛好者とインターネット上でつながって、交換することができます」と話します。躍動感あふれるプレー写真はもちろん、普段は見ることのできない希少なシーンが披露されるかもしれません。トレカに欠かせないレアカードもあります。
集めて楽しいのはもちろん、交換しても嬉しいのがデジタルトレカです。いつでも、どこでも、選手に触れることができるようになりますが、さらなるサービスの提供も検討しています。
佐川部長が続けます。
「デジタルという利点を生かして、リーグワンの試合情報、チームや選手の情報を提供させていただくことも考えています。また、ユーザーさん同士でコミュニケーションを取っていただき、ラグビーにあまり興味のなかった方々、ラグビーが好きだけれどこういったところには目が向いていなかった方々も、ぜひ参加していただければ」
 10月8日のサービス開始とともに、各方面で話題を集めることになりそうです。



■チームの底上げを促す4選手が加入!!

最後に、藤井アシスタントGM兼採用が、新加入選手とスタッフを紹介しました。
新加入選手はHOアンドリュー・マカリオ、LOカラム・マクドナルド、LOマイケル・ストーバーグ、WTBネタニ・ヴァカヤリアの4選手です。HO原田衛選手、LOワーナー・ディアンズ選手の海外挑戦も踏まえた補強となっています。
 マカリオ選手はニュージーランド出身で、24-25シーズンまで花園近鉄ライナーズに所属していました。スーパーラグビーのクルセイダーズでSOリッチー・モウンガ選手と、ハイランダーズでFLシャノン・フリゼル選手とともにプレーしています。
「マカリオ選手は非常に経験値が高く、スピードがあって手先が器用でスキルが高い。スクラムワークの引き出しが多く、フロントローの若い選手たちに積極的にアドバイスをしていて、非常に質の高いスクラム練習ができています」
 続いて、マクドナルド選手です。オーストラリア出身の25歳で、NTTコミュニケーションズシャイニングアークス東京ベイ浦安と、東京サントリーサンゴリアスに所属してきました。
「19歳からラグビーを始めた未完の大器です。決して器用ではないですが、元々持っている身体の強さ、プレイクダウンの激しさは、接点無双を掲げる我々のチームに打ってつけです」
 LOにはストーバーグ選手も加入しました。オーストラリア出身の33歳は、花園Lとリコーブラックラムズ東京でプレーしてきました。
「経験値が非常に高い、6番をカバーできる機動力が高い選手です。見た目はおとなしそうな感じですが、プレースタイルは非常に激しい。厳しい練習で若手選手をすごく鼓舞して、情熱的な感情を前面に出しています。情熱を前線に出すのは、我々の文化に合っています。同時に、冷静な判断と若手に対する積極的なアドバイスで、良いお手本となっています」
 ヴァカヤリア選手は、「非常に身体能力の高い、恥ずかしがり屋のフィジアン」とのことです。彼はストーバーグ選手と同じく、BR東京に在籍していました。
「本当に控え目なフィジアンで、生粋のフィニッシャーです。ボールを持ったらワクワクさせてくれる、何かをやってくれると思わせる選手で、スペースへどんどんボールを運ぶ我々のスタイルで、しっかりとスコアしてくれることを期待しています。身体も非常に強いので、特にエッジ際ですぐ倒れるようなことはなく、我々が意識しているオフロードによってどんどんボールを動かすようなこともできると、期待しています」
 新加入スタッフの紹介もありました。ウィル・エグルストンDFコーチ、アニセ サムエラ デベロップメントコーチ、近藤信一アスレティックトレーナーです。
 エグルストンDFコーチは33歳。「冷静で真面目」とのことです。
「まだ33歳ですがプロコーチとしてのキャリアは非常に長く、日本でコーチングもしていた経験から、日本のラグビーに対して非常にリスペクトを持った心優しいコーチです。我々が積み上げてきたディフェンスにフタをするのではなく、そこをまず理解したうえで自身の知識を少しずつ加えてより良いものにしていこうと、常日頃から考えてくれています。コミュニケーション能力が高いので、円滑にチームに馴染んでいる印象です」
 アニセ デベロップメントコーチは、昨シーズンまで選手としてプレーしていました。
「今シーズンはとくに若手選手に対して、1年間かけてここまで持っていきましょうというハイパフォーマンスプランというものを立てて、彼らの成長を促せる機会を作っていきたい。持続的なチーム力の底上げを実現するためには、いまの若手選手の成長は必要不可欠だからです」
 そのうえで、アニセコーチのキャラクターに触れます。
「非常に真面目で、選手時代から後輩の面倒見もいい。ハイパフォーマンスプランというコンセプトに、すごく合っているコーチです。我々には育てる文化があり、若手選手を育てる文化を体現してくれることを期待しています」
 近藤トレーナーは、滝田陽介ヘッドアスレティックトレーナーの「大学の後輩にあたり、2013-14シーズンにインターンで我々のクラブのお手伝いをしていただいた」という経歴の持ち主です。その後は福島で治療院を開設するなどしていましたが、スポーツの現場で仕事をしたいという強い思いを抱いており、滝田ヘッドアスレティックトレーナーからの推薦もあり、クラブの一員として迎え入れることとなりました。



25日の定例記者会見に先駆けて、チームは9月第3週から新シーズンへ向けて動き出しています。25日の公開練習後には、リーチ マイケル選手が熱い思いを口にしました。
「今年こそ去年よりも優勝したい気持ちがある。連覇する難しさを超えて、さらに優勝したい意欲が出てきた。モチベーションが高まっている」
 チームを牽引するリーチ選手の思いは、選手全員が抱くものと言って差し支えないでしょう。事業においても、競技においても、東芝ブレイブルーパス東京は今シーズンも唯一無二の存在感を放っていきます。


(文中敬称略)
(ライター:戸塚啓)




【連載企画】東芝ブレイブルーパス東京 「物語り」
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