【物語りVol.175】No.8 木戸 大士郎

大阪の名門・常翔学園高校では、3年連続で花園に出場した。
3年時は主将を任された。
言わずと知れた強豪の明治大学で、1年時から試合に絡んだ。
ここでも最高学年で、主将に指名された。
25年度の東芝ブレイブルーパス東京加入に際して、藤井淳アシスタントGM兼採用は、木戸を「この世代のリーダーであることは間違いありません」と紹介している。高校、大学で文句なしの実績を残し、21年にはU20日本代表候補にも選ばれている。藤井の評価は客観的にも納得できるはずだが、木戸の思いは正反対と言っていいものだった。
「自分に対する自信とか手ごたえとかいうのは、ホンマになかったですね。高校ではキャプテンをやりましたけど、それはチーム内の評価であって。高校日本代表でもないし、大阪の代表でもなかったので、評価されていないとしか考えられなかったです」
明治大学では1年から6番を着けた。2年時から8番を託された。全国の強豪校から精鋭たちが集い、苛烈な競争が繰り広げられるなかで、紫紺のジャージを身にまとう。木戸のなかで自信が立ち上がり、絶えず自らのプレーを見つめながら、ゆっくりと、少しずつ、自分自身への信頼を深めていった。
「1年の時は必死やったけど、2年ぐらいから少しずつ、ですね」
先輩からは「リーグワンのどこへ行くねん?」とか、「絶対に声かかるで」などと言われた。それはもちろん嬉しかったが、声をかけてもらえなければ実感は得られないものである。
「2年生の終わりぐらいに、東芝から声がかかって。それはもう、すごく有難かったですね。評価してもらえたんだ、と」

東芝ブレイブルーパス東京だけでなく、いくつかの選択肢を与えられた。「でも、最初に声をかけてもらったのは、自分のなかで大きかったです。練習に参加してみると、すごく雰囲気が良くて。このチームでラグビーをするのは楽しいなっていうのがあり、自分のプレーの細かいところを改善したいと言ったら、すぐに教えてくれて。それも、このチームでラグビーをやりたいと思った理由です」
25年度のアーリーエントリー選手として、25年2月からリーグワン出場が可能となった。しかし、2連覇へ突き進むチームで、キャップをつかむことはできなかった。
その一方で、25年5月にJAPAN XV(ジャパン・フィフティーン)にセレクトされた。5月24日にニュージーランド学生代表との試合に出場し、6月28日にはマオリ・オールブラックス戦で20番のジャージを受け取った。
「代表というものにあまり選ばれたことがなかったので、素直に嬉しい気持ちはありました。同時に、東芝で試合に出ることができていない悔しさもありました。自分にできることをとにかくやろう、という気持ちで臨みました」
国際舞台で貴重な気づきを得て、25-26シーズンを迎えた。「だから何かが大きく変わった、ということでもないんですが」と言い、自分なりの意欲を静かに言葉にしていく。
「自分の強みを出していく、ハードワークする、ということです。サイズが大きいわけではないですし、経験値も信頼も得ていない立場ですから、信頼をつかむためには身体を張らないといけない。身体を張ることが僕のできることで、僕の強みでもあるので」

高校と大学では主将としてチーム全体に眼を配ったが、東芝ブレイブルーパス東京には経験豊富な選手が揃っている。加入1年目の木戸は、自身のプレーに集中していい立場だ。
「いまはとにかく自分にフォーカスして、自分ができることを探して、やれることをやる、ということをずっと考えてきました」
25-26シーズンの第2節で、初キャップを獲得した。静岡BR とのシビアなビジターゲームで、東芝ブレイブルーパス東京としての第一歩を刻んだ。
「アーリーエントリーで登録された去年のシーズンから、キャップを獲れない悔しさを感じていました。今シーズンこそは絶対に獲りたいと思っていたので、嬉しい気持ちはあります。でも、まだまだ、これからです。全然満足していません。やっとスタートラインに立てたのかな、くらいの感覚です」

自身の未来図については、「どれぐらい続けるとか、そんなことは考えたくないんです」と話す。「でも、日本代表にはなりたいです」と続けた。
そのために、何をすべきか。どんな自分になるべきか。
「そのレベルでプレーできるようになりたいし、誰もが疑いなく『アイツは絶対、日本代表やな』と思われるような選手にならなければ。リーグワンでキャップを取れてないヤツがJAPAN XVに行って試合に出たりしたら、やっぱり色々と思う人がいると思うんです。だから、何て言うか……疑問を挟まれない、誰からも納得して日本代表に選ばれるような選手になりたいんです」
左胸に桜のエンブレムが着いたジャージをまとう先には──。
「ラグビーワールドカップに出たい気持ちは、もちろんあります」
東芝ブレイブルーパス東京で過ごす日々は、世界のトップ・オブ・トップで戦うとの目標へ一直線につながっている。府中グラウンドで流す汗のひとしずくが、未来の自分を作り上げていく。
「このチームのバックローは、ほんまにどこでもやっていけるような選手たちです。どれだけスキルを盗めるか、態度を学べるかとか、自分の糧にしながらやっていきたいです。いままで漠然とやってきたことが、ここではすごく言語化されていて、すごく明確になっているんです。センスとか感覚だけじゃなく、基準とか指標がきっちりある。だから、分かりやすい」

同世代の最前線を疾走してきたと見られる男は、絶えず自分を客観視してきた。達成感や充実感よりも飢餓感や向上心、上昇志向をエネルギーとしてきた。
「それはだって、同学年には青木恵斗(トヨタV)がおって、佐藤健次(埼玉WK)がおって、ワーナー・ディアンズもいるんで。すごいヤツがいっぱいおるから、追いつきたいっていう気持ちでずっとやってきています。ワーナーがいた流通経済大学柏には、花園で負けていますし」
餓えた思いが、全身に漲る。目の前の相手に、同じポジションの選手に、負けたくない、負けられない、勝ちたい、との思いが、練習中の一つひとつのプレーに重みを持たせる。そうやって小さな努力を積み上げて、木戸大士郎は昨日の自分を超えていくのだ。
(文中敬称略)
(ライター・戸塚啓)

次戦のホストゲームは、3/22(日)14:30より秩父宮ラグビー場にて、三重ホンダヒートと対戦します。
ONE LUPUSの皆さまのご来場をお待ちしております!!





























































.jpg)


レスター.png)


-07.jpg)










日本計装.jpg)































































-02-コピー.png)


















-1.png)




































-コピー.png)
.jpg)
HP-logo.png)














-復元.png)

















-コピー.png)










