【物語りVol.176】リーグワン第11節レビュー 改めて「勝ち取る立場」に目覚めて



■「誰でもできることを、おろそかにしない」

 

 誰ひとり視線を下げることなく、苦境を乗り越えていきます。

 NTTジャパンラグビーリーグワン2025-26 第11節、東京SG戦が26年3月15日に秩父宮ラグビー場で行なわれました。

前節終了時点で、東芝ブレイブルーパス東京は5勝5敗の勝点25で6位です。互いのプライドが激しくぶつかり合う府中ダービーを、浮上のきっかけとしたいところです。

 14時30分キックオフの試合は、序盤から追いかける展開となりました。前半は石岡玲英選手とマイケル・コリンズ選手がそれぞれトライを決め、リッチー・モウンガ選手が2本のコンバージョンキックを成功させましたが、14対27で折り返します。

 後半は開始から10分以内に、7点を取り合います。21対34で推移していきますが、後半21分から失点が重なり、21対60で敗れてしまいました。



この試合では、池永玄太郎選手が今シーズン初出場を果たしました。背番号22を着け、後半12分から白熱の府中ダービーに加わりました。
「ずっとメンバー外のなかで自分の足りないところをしっかり見つめて、この前のBR東京との練習試合でちょっと良くて。ケガ人の関係とかもあって、メンバーに入ることができました」
 自分を見つめて、思い至りました。
「気持ちの持ちかたがいままでとちょっと違う。そこは変わったかなと思います。小さいところですけど、人より多く動くとか、こぼれ球に率先して突っ込んでいくとか、絶対に負けたくないっていう気持ちを出すとか。誰でもできるところをおろそかにしない、ということを意識しています」
 チームは5試合連続で、勝利をつかめていません。ジャージを着て戦ったことでの気づきを、池永選手は明かします。
「うまくいってないところもありますけど、チームとしてホンマにもうちょっとのところ。あとひとつうまくいけば、っていうところまで来てると思うので。まったく機能してないという思いはなくて、ホンマにみんなの気持ちがちょっと変わればとか、小さいところやと思うんで。そこだけかなと、僕は思っています」
チームファーストの29歳は、与えられたプレータイムに自身のすべてを注いでいきます。



 

■誰もが「お互いを思い、チームを思っている」

 

 モウンガ選手も、細部の重要性に触れます。

「小さいプレーの遂行力、ホントに細かいところが決まってくれば、スコアを離されずに試合にしっかり入って、戦うことができるでしょう」

2連覇を成し遂げた東芝ブレイブルーパス東京が、ここまで長く勝利から遠ざかってしまう。チームの周辺はどうしてもざわつきますが、モウンガ選手はいつだって落ち着いています。

「チームがバラバラになっていると想像されるかもしれませんが、そんなことはまったくありません。お互いを思う気持ち、チームのために頑張る気持ちを、みんなが持っている。グラウンドでそれぞれがやるべきことをやる、ということが欠けているだけです」

 そして、プレシーズンから自身の身体を貫くメンタリティを、改めて言葉にしました。

「シーズン序盤にも何回も言いましたけど、今シーズンはまた横一線からスタートしています。もういまはチャンピオンじゃない、ここからまた勝ち取らなきゃいけないと、改めて自覚するじゃないですけど、そういうメッセージを与えられているととらえています」

 モウンガ選手はこれまでも、「勝ち取る立場」を繰り返してきました。この試合に勝ったとしても、彼はきっと同じことを話したことでしょう。チームはまだ何も得ていませんし、何も失っていないのです。




■「どれだけコミュニケーションを取れるか」

 

 小川高廣選手も、今シーズン初の出場となりました。トライを奪われてビハインドが拡がった後半22分、ファンの歓声を浴びてグラウンドに立ちました。

「点差が開いていたので何とかしたかったのですが、ボールに触る機会も少なくて。何もやっていないまま終わった、という感じです」

 小川選手はジャパンラグビートップリーグ2016-2017シーズンに、前年の準優勝から9位に沈んだチームを知るひとりです。当時の経験が、いままさに生かされます。

「やっぱりどれだけコミュニケーションを取れるかが大事で。練習中だけじゃなくて日常から、まとまっていくのが大事です。この試合に向けても話してきましたけど、やっぱりまだ少ない。リーダー陣が意思統一をして、方向性をしっかり決めていく、示していくことが、大事だと思っています」

 そう言って小川選手は、リーチ マイケル主将を気遣いました。

「開幕からなかなか試合に出られなくて、自分の身体を戻すことに必死だったところはあると思う。マイケルが試合に出てからまだ勝ってないので、早く勝たせてあげたい気持ちもあります」

 およそ10年前の苦しみを知る小川選手は、暗闇から抜け出す経験もしてきました。「まずは1勝です」と、言葉に力を込めます。

「まだ試合はあるので、ひとつ勝てば状況を変えることはできる。プレーオフにしっかり出られるように、やっていきたいです。プレーオフになれば、何があるか分からないですし。まだまだいけると思います」

 24年1月から1年以上の長期離脱を強いられた左ひざのケガについては、「もうだいぶ良くなりました」と明るい表情で答えた。張りのある声で続ける。

「あとは身体のバランスさえしっかり整えれば、ケガをする前のパフォーマンスに戻れそうなイメージがあります」

 トップリーグとリーグワンで通算113キャップを誇る経験者が、チームを鼓舞していきます。




■「試合を通して自分たちのラグビーをする」

 

 トッド・ブラックアダーHCは試合後の記者会見で、終始厳しい表情を浮かべました。「なかなか結果が伴っていないですが、まずは試合を通して自分たちのラグビーをする。そのためにどうすればいいのかを、しっかり見つめていきたい」と、自らの仕事に集中していきます。

リーチ主将も「フィジカルの部分、コリジョンのところで圧倒された気分です」と悔しさをあらわにし、「どうやって立て直すかをもう一回考えて、勝つ準備をしていきたい」と、決意を口にしました。

 次節は3月22日、秩父宮ラグビー場でのホストゲームです。前回の対戦で競り負けた三重Hを、必勝態勢で迎え撃ちます。

 

(文中敬称略)

(ライター・戸塚啓)




次戦のホストゲームは、3/22(日)14:30より秩父宮ラグビー場にて、三重ホンダヒートと対戦します。
ONE LUPUSの皆さまのご来場をお待ちしております!!

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