【物語Vol.205】チーム名称を変更!! 『東芝ブレイブルーパス武蔵』に!!

●古(いにしえ)に思いを馳せて
9月28日、東芝ブレイブルーパス東京は定例記者会見を開きました。薫田真広代表取締役社長兼GM、森井康浩アシスタントGM、ジョシュア・シムズHC、さらに新加入のジャック・デンプシー選手が出席し、1時間半以上にわたって様々な発表と情報発信が行なわれました。
最初にビッグニュースがありました。チーム名称が変更されたのです。10月1日より『東芝ブレイブルーパス武蔵(むさし)』となりました。略称は「B武蔵』です。
登壇した薫田社長兼GMが、その理由について丁寧に説明をしていきます。
「リーグワンは今シーズンからフェーズ2へ突入するということで、我々もフェーズ2を見据えながらクラブとして発展していく、ということです」
今回のチーム名称の変更は、ホストエリアである府中市、調布市、三鷹市に加え、川崎市、神奈川県ラグビーフットボール協会、川崎市ラグビーフットボール協会との連携協定が締結されたことがきっかけとなっています。その文脈のみで考えれば、『東芝ブレイブルーパス東京・川崎』といったチーム名も成立したのかもしれません。
薫田社長兼GMは、「なぜ武蔵なのか」について明確な答えを持っていました。
「武蔵」とは、飛鳥時代から明治時代初期まで存在した「武蔵國(むさしのくに)」の通称です。その国府として政治の中心が置かれていたのが、現在の府中市でした。また、府中市にある大國魂神社は、武蔵國の総社として古くから地域を見守り続けてきました。
クラブが新たなフェーズへ向かっていくにあたり、自分たちの歴史とホストエリアに改めて思いを馳せ、自分たちの進むべき道を確認したのでした。クラブ創設以来培ってきた歴史や伝統、そして『BRAVE LUPUS』のブランド価値を継承していくために、チームエンブレム及びロゴの変更は行なわず、これまで同様のデザインを使用いたします。
薫田社長兼GMの言葉を聞きます。
「1948年に創立したクラブとしては、創部80周年という大きな節目に向けてこれまでのクラブのDNA、ホストエリアの歴史などを受け継ぎながら次のフェーズへ入っていく、ということでこのチーム名にしました。川崎市との連携協定はもちろんですが、新たなチャレンジをしていく覚悟がチーム名変更の背後にあります」

●世界トップの事業運営を目ざす
東芝ブレイブルーパス武蔵への改称により、事業会社として改めて足元を見つめ、より高みを目ざしていきます。薫田社長兼GMは、これからのあるべき姿として「世界トップクラブへの挑戦」、「稼ぐ力、クラブの運営力を高める」ことを念頭に置きます。
「リーグワン優勝を目ざすのはもちろんですが、世界のクラブとの対戦も今後検討されているなかで、我々は世界で勝てるクラブ、世界のトップと肩を並べる事業運営を目ざしていきます」
そのためには、クラブとしての「力」を大きくしていくことが欠かせません。それが「稼ぐ力」であり、「運営力」です。その先には、日本ラグビー全体の課題も見据えています。
「稼ぐ力、クラブの運営力を、世界のトップチームとどれだけ並べられるか。そこで一番の問題になってくるのはスタジアムです。これから我々のホストゲームに関係しうるスタジアムが、改修に入っていきます。今シーズン、来シーズンを経験していくなかで、スタジアムについて障害や困難が生じるかもしれませんが、我々はこれまで鹿児島や北海道など地方興行を経験してきました。ホストエリアにこだわらずに日本ラグビー、リーグワンの発展を引っ張っていきたいという覚悟を持っています」
薫田社長兼GMが言葉にした「覚悟」には、具体的なビジョンの裏付けがあります。東芝ブレイブルーパス武蔵がどんなクラブを目ざすのか、その構想を明かしていきます。
「荒岡義和前社長の在職当時から、『世界有数のユニークなラグビークラブを目ざす』と掲げてきました。それをベースとして、『古きを愛し、進化を重ね、皆で試合を作るラグビークラブ』を目ざしていきます」
薫田社長兼GMは、「皆で」がカギになると言います。
「新設のクラブハウスは、ステークホルダーの皆さんと一緒に共有財産としてどうやって発展していくかというコンセプトのもとで、クラウドファンディングを進めています。ステークホルダーやONE LUPUSと一緒に、試合を作っていくことが大事だと考えます」

●5つの存在意義を行動に結びつけて
そのうえで、クラブの存在意義を改めて定義しました。
「ひとつ目は、勝ち負けを越えて心が動かされる、そういったメッセージを伝えていく。勝負の世界なので勝ち負けはありますが、勝ちかた、負けかたにこだわる。事業運営としては毎試合が1分の1というものを理解して、楽しんでいただける試合運営を目ざします」
ホストエリアやONE LUPUSとのつながりを、薫田社長兼GMは大切にしています。
「ふたつ目はファン、地域の皆さんにとって、なくてはならない存在になることです。我々の試合を観て、接点を見て、心が動いた、と言われるように。府中、調布、三鷹、連携協定を結んだ川崎、この4市と東京都と連携をはかりながら、その地域でなくてはならない存在となっていきます」
さらには、ラグビーの持続可能性についても責任を背負います。
「三つ目はアカデミーです。我々のアカデミーは、若年層の育成もしっかりとやっていく。普及活動もしていきます」
選手育成や普及は、日本国内にとどまりません。アジアにも目を向けています。今回のプレシーズンでは、タイの選手が10日ほど練習に参加しました。
「新たな取り組みとして、アジアの代表選手をどうやって採用するか。日本協会、アジア各国協会とともに、模索していきたい、日本の子どもたちだけでなく、アジア全体の普及活動もやっていきたい」
選手、スタッフ、事業運営スタッフの一人ひとりが、主体性と責任感を胸に刻んで行動する。それによって、チームの価値が高まります。
「ジャージの価値を高める。そのために熱狂的なファンを増やし、協賛パートナーの皆さんに対する価値向上を目ざします。ここでお話しした5つを、常に念頭に置きながら活動をしていきます」

●カテゴリーCを4選手とした「覚悟」
事業面では、2026-27シーズンの売上げ目標を10.6億円としました。25-26シーズンの売上げが11.1億円と発表されていますが、そのなかには新クラブハウス建設に対する9500万円の寄付が含まれています。これを差し引くと、前年度比で黒字の目標設定になります。
平均入場者数は、1万3500人を目ざします。昨シーズンは12781人でリーグワン最多の観客動員を達成しましたが、そこからさらに数字を上乗せしていきます。
ホストゲームは秩父宮ラグビー場と味の素スタジアムに加え、Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsuで2試合、鹿児島県の白波スタジアムで1試合の開催が決まっています。薫田社長兼GMは「今シーズンも有料観客数を意識しながら、全試合黒字化を目ざしていく」と、強い意欲を言葉にしました。
7月の定例記者会見で、薫田社長兼GMは「普段の練習環境を変えるために、外国人のプロップをもっと足していきたい」と話していました。その言葉どおりに、新加入選手としてPRアトゥナイサ・モリ選手の加入が発表されました。ニュージーランド代表キャップを持ち、カテゴリーCでの選手登録となります。
「カテゴリーCはリーグワンの登録で3名となっており、すでに発表しています。モリ選手には何かアクシデントが起きない限り出場はない、ということに同意したうえで契約してもらいました。これは我々の覚悟です。事業運営とも連携をはかりながら、スクラムキャンペーンをはって、静岡BRに負けないスクラムをもう一度イメージさせるように、東芝の強いスクラムを勝ち取っていきたい」
現役時代にフッカーとして活躍した薫田社長兼GMは、昨シーズンのチームがリーグ最多のペナルティを記録したことを「非常に悔しい」と振り返ります。
「猛勇狼士の『士』、『猛攻猛守の紳士なり』の紳士を、グラウンドの内外で体現できるように。ペナルティが一番多いチームは紳士だったのか、と思っています。そういうところから修正していきたい。接点無双のコンタクトへもう一度原点回帰しながら、チームを作っていきます」
PRモリ選手と同時に、SOライリー・ホヘパ選手の加入も発表されました。25-26シーズンはGW東葛でプレーしたホヘパ選手について、新任の森井康浩アシスタントGMが説明します。
「10番、12番、15番でプレーできます。キックを含むゲームメイクやゲームコントロール能力に優れている。練習熱心で、人間性にも優れています」
また、新加入スタッフとして、柴田直登氏が通訳に就任しています。森井アシスタントGMは「幼少期からラグビーに取り組み、オークランド工科大学卒でラグビーの知識も豊富です。人間性も明るく、コミュニケーションスキルに優れている」と、その仕事ぶりに期待を込めます。
自分たちのDNAを大切に、東芝らしさを忘れず、挑戦を恐れない。10月1日より東芝ブレイブルーパス武蔵として活動をスタートさせたチームは、フレッシュで野心的なモチベーションに満ち溢れています。
(文中敬称略)
(ライター・戸塚啓)





























































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