【物語りVol.68】「最高のシナリオ」を目ざして

■選手プロデュースのグッズが人気を集める

 3月27日(月)、東芝ブレイブルーパス東京は定例記者会見を開きました。昨年8月から行なわれている会見は、リーグワンを戦うチームの状況からホストゲームでの取り組み、さらには事業会社としての展開など、様々な情報を広く発信する機会となっています。
最初に荒岡義和代表取締役社長より、3月のホストゲームの振り返りと、4月のホストゲームについての説明がありました。
「3月4日のホストゲームは、株式会社バディ企画研究所(略称:バディスポーツ)にマッチデースポンサーになっていただき、『バディday~ルーパスキッズDAY~』と銘打って開催されました。子どもたちにたくさん来てもらうためのイベントや仕組みを考え、1000人相当の小学生以下のお子様に来ていただきました」
 この日は6364人の観客を集めましたが、バックスタンドを中心に子どもたちの歓声が響きわたりました。荒岡社長も「いつもとはまったく違う雰囲気を作ることができました」と言います。
「リーグワンはお客様の年齢層が比較的高いですが、子どもたちがたくさん来てくれた光景は雰囲気が和みますし、とてもいいものだと感じました。選手からも子どもたちの声援に励まされた、という発言がありました。今後も子どもたちに多く来ていただけるようなことを、改めて考えていきたいと思っています」

 コベルコ神戸スティーラーズに勝利した試合後には、梶川喬介選手の100キャップ達成のセレモニーが催されました。直前の2月25日のビジターゲームで達成し、セレモニーが行なわれましたが、荒岡社長は「私どものホストゲームでも祝いたいと考えて実施しました」と、梶川選手への敬意を表しました。当日は記念Tシャツが数量限定で発売され、選手たちも試合後に着用して祝福しました。
 グッズに関連した話題としては、選手プロデュースのグッズが好評を博しています。この試合ではポーチやトートバック、2ウェイタンブラーなどが人気を集めました。「グッズショップにオープン前から行列ができました」(荒岡社長)とのことです。

■ナイターのホストゲームで新たな施策が

 続いて、4月14日と21日のホストゲームについて、荒岡社長から説明がありました。
「4月14日は(株)BIZLET様、21日はナグモクリニック様がマッチデースポンサーをやっていただけることになりました。14日は今季のホストゲームで初めてのナイターになります。仕事帰りにふらっと寄っていただけるような、職場の方々で声を掛け合って観戦していただけるようにしたいと思っています」
 2試合限定の新商品も販売されます。大野均アンバサダーがプロデュースしたオリジナルクラフトビールです。レッドウルブズとシルバーフォックスの2種類で、選手たちが原材料選びから関わり、トッド・ブラックアダーHCがテイスティングをしたそうです。
 会見では大野アンバサダーのコメントが紹介されました。
「クラフトビールの制作にあたり、ブレイブルーパスらしさを大切にしました。一種類はチームカラーの赤をイメージし、コクと飲みごたえのあるものにしました。もうひとつはトッド・ブラックアダーHCのトレードマークである白髪の白をイメージし、HCの人柄のように優しくすっきりとしたテイストにしました」
 ラグビー観戦中の飲食を楽しめるように、バックスタンドS指定席とA指定席の上段(各ゲートより上の席)は、1席飛ばして販売されています。マスク着用についての政府方針の変更を受けて、観戦中に飲食を楽しんでもらえる具体策のひとつです。
「マスクの着用が個人の判断に委ねられるようになりましたが、周りに気を遣うところがあると思います。そんななかで気兼ねなく飲食できるように、精神的なハードルを下げて楽しんでもらえるエリアを設けています」(荒岡社長)
 4月14日の三菱重工相模原ダイナボアーズ戦では、観戦チケット付き特別企画『大野均アンバサダーとのアフターマッチファンクション』が実施されます。「試合を楽しんでいただいたあとに、その余韻を残したまま大野さんとお酒を飲みながら交流を図る企画で、チケットはほぼ完売です」(荒岡社長)とのことです。

 また、4月21日の埼玉ワイルドナイツ戦では、マッチデースポンサーのナグモクリニックとコラボした赤を基調とするタオルが、来場者1000名に無料配布される予定です。13節まで無敗街道を突き進む相手との一戦を、荒岡社長は「会場を赤色に染めてチームを後押ししたい」と語りました。
 同じく21日の試合では、『ラグビーVR』の無料体験会が行なわれます。リーチ マイケル選手、藤野佑磨選手、原田衛選手が、ギャラクシーズ社が開発した技術によって、リアリティ溢れる3Dアバターとして再現されます。荒岡社長の話を聞きましょう。
「選手たちがタックルしてくるような、迫力ある視覚的体験をしていただけます。アトラクションではありますが、将来的にスポーツ科学の発展に資する技術だと思っていますので、非常に楽しみな催しです」
 星野明宏プロデューサーによれば、「7、8分ぐらいのショートムービー」で、「ストーリー性があって楽しめる内容」とのことです。行列必至のイベントになりそうです。

■ラグビー界全体の利益を考えて

 今年はW杯イヤーです。荒岡社長は「ラグビーW杯2023フランス大会まで半年を切り、クラブとしても盛り上げたい」と語り、「私どもの選手も日本代表に選出されるであろうということで、以前からフランス観光開発機構と協議をしてきました」と明かしました。
14日と21日のホストゲームでは、W杯への関心を呼び起こすようなブースが設けられる予定です。東芝ブレイブルーパス東京は、ラグビー界全体の利益となる取り組みを、継続してやってきています。
すでに報道されているように、今年4月に『バディ×東芝ブレイブルーパス東京 アカデミー』が開校されます。現在は体験会が実施されており、すでに100名以上が参加していることが報告されました。
バディスポーツと連携する意義について、荒岡社長は「学校の体育の授業で行なわれる競技などに比べると、ラグビーは実際に触れてもらう機会が少ないと感じます。将来競技者になる、ならないにかかわらず、体験することで将来ラグビーを支えてくれるファンや観客になってくれるのでは。ラグビー文化を育む意味で非常に重要な事業だと思っていますので、たくさんの方にラグビー教室に参加していただけたらと思います」と力強い口調で話しました。

■「プレーオフ進出へ全力を傾ける」

 続いて、薫田真広GMがマイクを持ちました。最初に2月18日開催の8節からの6試合に触れます。
「直近の6試合はアウェイが5試合、ホストが1試合で4勝2敗。正直に言って乗り切った、という感じです。というのも、昨年以上にゲームの質が高まっています。また、コンカッション(脳震とう)のプロトコルが変わったことで、毎試合メンバーを揃えることがタフになっています。12、13節はショートウィークで、6節連続ゲームというのは、リーグとも向き合っていかないといけない。チーム側としては、ストレスがかかりました。あくまでも正直な気持ちです」
 13節までを終えて、東芝ブレイブルーパス東京は5位につけています。プレーオフ出場圏内の4位とは、1勝分に相当する勝点4差となっています。
「昨シーズンは交流戦から同じカンファレンスのゲームで6連勝して、プレーオフに進出しました。今シーズンもまだ進出の可能性があります。オーナー、スポンサー、ファン、ブレイバーの方々に対して、プレーオフに向けてしっかり戦っていく。プレーオフはシーズン前からの目標です。全力を傾けていきます」
 そういって薫田GMは、19年のW杯に触れました。
「19年のW杯では、日本代表がスコットランドとのプール最終戦に勝ち、大いに盛り上がりました。我々も16節が埼玉ワイルドナイツ戦なので、全勝チームに勝ってプレーオフをつかみ取る。そんな最高のシナリオを描けたらと思っています」

■「人を育てる文化」がアジアプロジェクトに生かされる

 最後に星野プロデューサーが、『アジアプロジェクト』について説明しました。新型コロナウイルス感染症が落ち着いてきたことで、国をまたぐプロジェクトが動き出していくようです。
「3月8日から24日まで、モンゴル人のダバジャブ・ノロブサマブーくんを受け入れました。彼は札幌山の手高校から今春に国士舘大学へ進学する選手です。受け入れ体制やプログラムなどのテストケースになり、最終的に26日の埼玉ワイルドナイツとの練習試合に、短い時間でしたが練習生して参加することができました」
 今後はアジア各国から指導者や選手を、東芝ブレイブルーパス東京の事業として受け入れていく予定です。「持続可能な取り組みとするために、様々な課題と向き合いながらチャレンジしていきます」と、星野プロデューサーは話しました。
 アジアプロジェクトには、リーチ マイケル選手が深く関わっていますが、今年はラグビーW杯イヤーです。星野プロデューサーは「彼にはW杯に集中してもらい、東芝ブレイブルーパス東京として組織で継続してプロジェクトを推し進めていく」と言います。
 より広い視点に立った展開も模索しています。
「アジアということでいえば、トップリーグ時代にあったアジア枠の復活。なかなか難しいかもしれませんが、アジア枠があれば試合出場はもちろん、チーム側も受け入れやすくなるのでは。受け入れた選手が、のちに母国のラグビー界を牽引する存在となる。そういった中期的なことも考え、このプロジェクトを動かしていきたいと思っています」

 人を育てるという東芝ブレイブルーパス東京の文化が、アジアのラグビーのすそ野を広げ、レベルアップを促したら、こんなに素晴らしいことはないでしょう。チームとしてクラブとしても、東芝ブレイブルーパス東京は絶え間なく前進しています。



【連載企画】東芝ブレイブルーパス東京 「物語り」
・物語り一覧はこちら


【チケット情報】
ぜひ試合会場にお越しいただき、東芝ブレイブルーパス東京の応援をよろしくお願いします!
4/14(金)三菱重工相模原ダイナボアーズ戦(@秩父宮ラグビー場)
4/21(金)埼玉パナソニックワイルドナイツ戦(@秩父宮ラグビー場)

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