【物語りVol.88】東芝ブレイブルーパス東京の勝利に全力を注ぐ

■「できるだけ長くプレーしたい」

 世界最高クラスの実力者が、新たな意欲を燃やしています。
 11月21(火)、リッチー・モウンガ選手、シャノン・フリゼル選手の記者会見が行なわれました。先のW杯でオールブラックスの主力として活躍したふたりは、今月中旬にチームに合流しています。
 会見はひとりずつ行なわれ、最初にモウンガ選手が出席しました。
「コンニチハ」と日本語であいさつをすると、その後は英語で対応します。
「東芝に加入して今日まで、ホントに素晴らしい時間を過ごせています。チームのカルチャーも雰囲気も素晴らしい。府中も自分と家族が『自分の場所』と呼ぶのにふさわしいと感じています」
 東芝ブレイブルーパス東京の選手たちは、彼らふたりの合流を待ち望んでいました。チームメイトの印象を問われると、モウンガ選手は笑みを浮かべます。
「チームメイトはウェルカムの姿勢で、すぐに受け入れてくれました。全員が友だちと言えるようないいチームです。すごく気にいっているのは、全員が組織のこと、お互いのことを思いやっている。トレーニングを含めて、取り組む姿勢が印象に残っています」
 ニュージーランドのクライストチャーチで生まれ育ち、カンタベリー、クルセイダーズ、そしてオールブラックスでプレーしてきました。クルセイダーズでは17年から直近の23年まで、スーパーラグビー7連覇(!)を達成しています。
「今回の東芝入りは、自分の能力を違う環境で試すチャンスだと思っています。このチャンスを東芝が与えてくれたことはホントに光栄で、クラブに敬意を抱いています。これまでのすべての学びを生かし、自分の持っているすべてを東芝のために費やします」
 東芝ブレイブルーパス東京加入にあたっては、昨シーズンまで在籍したマット・トッドやトム・テイラー、さらにはティム・ベイトマンらに話を聞いたそうです。「府中は家族と過ごすのにとっておきの街だと教えてもらいました」と微笑み、新しい生活の一部を明かしました。
「ニュージーランドではできないこと、たとえば自転車の前と後ろに娘と息子を乗せて走ったりします。ニュージーランドとの違いを、すごく楽しんでいます」
 トッド・ブラックアダーHCには、クルセイダーズでも指導を受けています。「たくさんの話をしました」と言います。
「このクラブがどこへ向かっていくのかの認識を、しっかり合わせるのが大事だと思っていました。自分にとってこのチームはすごくいいフィットで、さらにプラスのものを提供できると思いました」
 契約期間は公表されていませんが、モウンガ選手は「1年だけとは思っていません」と語ります。その口調は一切の迷いを感じさせず、強い決意が込められていました。
「すべての覚悟を持って、東芝でプレーしたい。このクラブのために自分がやるべきことを、しっかりやっていくという考えです。できることはすべて東芝に注ぎたい。できるだけ長くここで、リタイアするまでプレーしたい、と思っています。東芝のためにいいラグビーを提供したい」
 キャプテンのリーチ マイケル選手とは、スーパーラグビーやテストマッチなどで対戦してきました。すでにコミュニケーションを深めています。
「自分がやりたいことに、自信を持たせてくれます。ミーティングでも遠慮して発言しないのではなく、自ら発言をして東芝のレガシーに加わっていきたい。そういったことを思わせてくれる存在です」
 シャノン・フリゼル選手について聞かれると、ユーモアを交えてそのプレースタイルを紹介しました。
「すごくダイナミックかつパワフルで、ボールキャリーは残虐と言ってもいいぐらいに力強い。タフで身体のサイズが大きい。ランもできるし、相手を突き飛ばすこともできる。ラグビーIQが高い。大きい選手だけど、細かいスキルも素晴らしい。これ以上ほめるとうぬぼれてしまう可能性があるので、これぐらいにしておきましょう(笑)」
 12月9日の23-24シーズン開幕節へ向けて、フィジカルとメンタルを高めています。モウンガ選手は引き締まった表情で語ります。
「まずはチームに選ばれることが最初ですが、チームのために自分のできることに集中して取り組んでいます。開幕戦を前にすごくワクワクしていますし、ファンの皆さんにお会いできることを楽しみしています。観戦できる方は、ぜひ会場へ足を運んでください。試合後に多くの人にお会いできたらと思います」

■「良い影響をもたらし、自らも学びたい」

 モウンガ選手への質疑応答が終わると、フリゼル選手が会場へ姿を見せます。ツーショットで写真撮影に応じると、モウンガ選手が退席してフリゼル選手が着席しました。上着を脱いでTシャツ姿になると、首回りや上腕のたくましさがくっきりと浮かび上がります。
 フリゼル選手も「コンニチハ」と日本語で切り出しました。そこからは英語に切り替えます。
「W杯を終えて日本に来て、リーグワンでプレーすることをすごく楽しみにしていました。すごくワクワクするリーグで、スーパーラグビーに似ているところがあると思います。リーチ選手をはじめとして、自分が尊敬する選手と一緒にプレーできることをすごく楽しみにしています。リーグワンには色々な国の代表選手が来ていますので、そういった選手と対戦することも楽しみにしています」
 フリゼル選手は「ここ数年、(リーグワン開幕前の)トップリーグとリーグワンを見てきた」と言います。自分なりに情報を集めたうえで、日本行きを決断したということなのでしょう。
「日本でのプレーを経験した選手と話をすると、ホントにいいことばかり聞きます。リーグワンのチームには、オールブラックスの選手、スーパーラグビーでプレーしていた選手、自分が所属していたハイランダーズへ来た日本人選手がいます。そういう人たちとプレーできるこのリーグは、自分のなかで第一のチョイスとして思いつきました」
 オールブラックスの現在の規定では、日本でプレーしている間は選考の対象外となります。フリゼル選手は「自分は東芝でプレーすることにフォーカスしていく。リーグワンで優勝することを最大限に考えています」と迷わずに答えました。続けて、東芝ブレイブルーパス東京の印象について語っていきます。
「東芝にはベテランの選手がいますし、大学を出たばかりの選手もいます。そういった選手たちに混ざってプレーできることにワクワクしています。大学を卒業したばかりの選手がベテランをプッシュして、ベテランから学ぶというのが、東芝の良さのひとつだと思っています」
 トッドHCについては、モウンガ選手から事前に話を聞いていたようです。それに関連して、興味深いつながりを明かしました。
「彼のもとでプレーするのは初めてですが、息子のイーサンとはすごく仲良くさせてもらっています」
自身のプレーについて問われると、「チームに求められるものをしっかりやっていきたい」と、チームファーストを強調します。チームに良い影響を及ぼしながら、自らも学んでいきたいというのが、フリゼル選手のスタンスです。
「テストマッチで得た知識をしっかり発揮して、若い選手にも教えて、若い選手が今後5年、6年と東芝でプレーできるものを伝えていきたい。同時に、若い選手から学びたいとも思います。日本人選手がどのようにプレーしているのか、学びたいのです」
 若い選手の模範となるために、フリゼル選手はリーチ選手をモデルにしているようです。こんな言葉が聞かれました。
「リーチ選手は練習を含めて、すごくハードに取り組んでいます。チームメイトを助ける彼のふるまいを見て、自分自身もそうなりたいと感じます。そういうインスピレーションを与えてくれる選手です」
 モウンガ選手からフリゼル選手の紹介がありましたが、フリゼル選手はモウンガ選手をどのように見ているのでしょう。通訳の言葉を聞くと、すぐに答えます。
「彼の強みとして、まずはリーダーシップが素晴らしい。何でもできると言ってもいいほど能力が高い。チームをコントロールする能力は素晴らしく、それは国際舞台でもクルセイダーズでも証明していました」
 モウンガ選手の存在は「チームメイトとして心強い」と語ります。東芝ブレイブルーパス東京加入の理由には、モウンガ選手と同じチームでプレーできることも含まれていました。
「彼がクルセイダーズにいるときは、対戦するのが嫌でしたね。これまではオールブラックスでともにプレーしてきましたが、東芝で一緒にできることを楽しみにしています」
 12月9日の開幕節について問われると、瞳に鋭い光が宿りました。
「開幕戦を待ち望んでいます。自分がメンバーに選ばれてもいい状態だと思います。準備は万端です」
 モウンガ選手、フリゼル選手ともに、一つひとつの質問に丁寧に答えていました。質問には英語で答えましたが、最後に日本語で「アリガトウゴザイマス」と言い添えていました。新しい環境に適応しようという姿勢が垣間見え、ラグビー選手としてだけでなく人間としても魅力的なことがうかがえます。

 世界のトップ・オブ・トップを知るふたりは、ブレイブルーパスの一員としてどんなプレーを見せていくのでしょう。チームにどのような変化をもたらすのでしょう。
 12月9日の開幕節から、目が離せない試合が続きます。

(文中敬称略)
(ライター:戸塚啓)


【連載企画】東芝ブレイブルーパス東京 「物語り」
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【チケット情報】
12月9日(土)は静岡ブルーレヴズと対決!!
ぜひ味の素スタジアムにお越しいただき、東芝ブレイブルーパス東京の応援をよろしくお願いします!
12/9(土)静岡ブルーレヴズ戦(@味の素スタジアム)
※当日券も試合会場にて販売いたします

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