【物語りVol.9】LO ワーナー・ディアンズ

 高卒1年目で東芝ブレイブルーパス東京の一員となった1年前の自分に、いま声をかけるとしたら。ワーナー・ディアンズは、「たぶんあまり自信はなかったですね」と小さな笑みをこぼした。
「まだ高校生みたいな気持ちで、個人的なスキルとかの自信もなくて、ホントにこのレベルで戦えるのかなと考えていたし、この身体の大きさだからコンタクトは勝てるみたいなことを思われるから、もし負けたらどうなるかなと、あんまり自信がなかったんです」
 制服を脱いだばかりの18歳の少年が、日本代表やW杯を経験した猛者が集う集団に飛び込んだのだ。戸惑いを覚えてもおかしくないが、同時に彼は東芝ブレイブルーパス東京でラグビーができる喜びに包まれていた。
「14歳で来日してから千葉県の我孫子市に住んでいて、地元にあるNECのファンだったんですけど、2015―16シーズンのトップリーグで準優勝したブレイブルーパスの試合を観て、FWがすごいなと思ったんですね。僕もFWなので、このチームに合うかなって」


 トッド・ブラックアダーの存在も、ディアンズをブレイブルーパスに惹きつけた。ニュージーランド出身の彼にとって、トディの愛称で親しまれるヘッドコーチは少年時代から憧れていたひとりだ。
「トッドさんはクルセイダーズのヘッドコーチもやっていて、そのときにクルセイダーズを見て、すごいなと思ったんです。リーチさんみたいなすごい選手もいるので、ブレイブルーパスから声をかけられたときには絶対に行きたいと思いました」
 入団を前提とした練習参加では、「みんなハードワークする。プロフェッショナルの選手が多い」と感じた。日本代表でプレーするようになったいまも、「それは変わらないです」と言う。
「日本代表と比べても、プロフェッショナルな集団というところはほとんど変わりません。日本代表はティア1のチームに勝ちたいと思っているし、ブレイブルーパスの選手はリーグワンで勝ちたい気持ちを持っている。そのためにやらなきゃいけないことも、ちゃんとやっていると思います」
入団1年目の昨シーズンは、リーグワンで15試合に出場した。開幕戦の東京サンゴリアス戦でいきなり先発に名を連ね、プレーオフの2試合にも出場した。
「多くの試合に出て、うまくいったときもいかなかったときもあるんですけど、もうちょっと一貫性を持って毎試合パフォーマンスを出したかった、という反省があります。今シーズンはチームのために自分の仕事を全力でやって、勝てるように頑張りたいと思っています」


日本代表の秋シリーズでは、ニュージーランド戦でトライを決めた。来年のラグビーW杯でも、活躍が期待されている。
 そのためにも、リーグワンで結果を残したい。
「今年はチャンピオンになります」
 チャンピオンになったら、誰に感謝を伝えたいか。「色々な人にお世話になってきたので、たくさんいますけれど」としばらく悩んでから、ディアンズは「やっぱり」と切り出した。
「お父さんですかね。ラグビー選手だったので、ラグビーに関しては色々なアドバイスをもらっているんです。お母さんもネットボールの元ニュージーランド代表選手で、アスリートの世界を経験しているから、いろんなアドバイスをもらっています。それから、トッドHCですね。1年目から試合に出してもらって、そこから色々なチャンスをもらったのはトッドHCのおかげなので」
 自身のキャリアを支えてくれている人たちへの、大きくて深い感謝を胸に秘めて。ディアンズはリーグワンのグラウンドに立つ

(文中敬称略)
(ライター:戸塚啓)


【連載企画】東芝ブレイブルーパス東京 「物語り」
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【チケット情報】
ぜひ試合会場にお越しいただき、東芝ブレイブルーパス東京の応援をよろしくお願いします!
12/24(土)ブラックラムズ東京戦(@味の素スタジアム) 
1/7(土)静岡ブルーレヴズ戦(@等々力陸上競技場)

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