【物語りVol.97】妥協のない「プロセス」が勝利を呼ぶ

■ファン層のさらなる拡大のために

 2月19日、東芝ブレイブルーパス東京は定例記者会見を開きました。最初に荒岡義和代表取締役社長が、クラブの事業などについて説明をしていきます。
 前月の会見で、ファンクラブ会員数が伸びているとの報告がありました。それからほぼひと月を経て、前年の7500人を大きく上回っていることが明かされました。1万1千人に届きそうな勢い、とのことです。
「シーズンに入ってからファンクラブ会員がこれだけ増えるのは、初めてと言っていいぐらいです。新たなファン層の掘り起こしのためにホストゲームの無料招待を増やしたこと、チームの調子がいいことが相乗効果となっているのかな、と見ています」
 ホストエリアとその周辺において、パートナー企業とファンを増やすことに、クラブはシーズン中も力を入れています。その一環として、大学とのコラボが検討されています。
「これまで小中学校の生徒さんについては、自治体を通じてホストゲームにご招待してきましたが、もう少し上の世代にもアプローチしたいと考えています。我々のホストエリアとその周辺は、大学の多い文教地区でもありますので、お互いにとってメリットになるようなことを大学とやっていきたい。その世代に関心を持ってもらい、東芝ブレイブルーパス東京について発信していただく。それによって、同世代の方々を呼び込めたらと考えています」
 ファン層の拡大という意味では、クロスボーダーラグビー2024も参考にしているようです。荒岡社長は実際に会場へ足を運んだと言い、経営の視点から大会に触れました。
「日程などクリアしなければいけない問題はあると思いますが、代表チームの試合だけでなくクラブレベルでも交流戦があるのは意義があると率直に感じました。ファン層の拡大という観点でも、スーパーラグビーのファンにリーグワンの試合を観てもらうとか、訪日した際に観ていただくとか、マーケットを広げる意味で強豪チームと試合をするのは大事な要素ではないか、と感じています」

■「毎週ベストなチームを選ぶのがセレクションのポリシー」

 荒岡社長に続いて、トッド・ブラックアダーHCが登壇しました。「しっかりと目的意識を持って試合のある週を過ごすのは、自分たちがここに居る理由です。またリーグワンが再開されて嬉しいです」と笑顔を浮かべ、ここまでの戦いに触れていきます。
「6連勝という結果は評価できますが、遂行する部分としてのエクスキューション、それに細かな部分はまだまだ不十分です。過去数試合、チャンスは作っていますが取り切れなかった。容赦なくいくというところが不十分でした。チャンスをつかんだら、しっかりフィニッシュまで持っていきたい。それが大事な瞬間で、大事なバトルで、勝てるかどうかを分けます」
 クロスボーダーラグビー2024の期間中には、GR東葛、BR東京との練習試合が行なわれました。選手たちは激しいアピールを繰り広げたようで、トッドHCの表情に充実感が浮かびます。
「ここまで試合に出場する機会を得られていない選手に、試合時間を与えられることができました。すごく輝いた、いい活躍をしてくれた選手もいました。プレッシャーのなかで活躍する姿を見られたのは、すごく良かったです。多くの選手が試合へ向けたセレクションで、検討する対象に上がってきています」
 2月27日の第7節からは、5連戦となります。その後はバイウィークを挟んで6連戦です。シーズン終盤にかけては選手の疲労が心配されますが、トッドHCは「私のなかでは、連戦ということはあまり関係ありません」と話します。
「セレクションのポリシーは、毎週ベストなチームを選ぶことです。目の前の試合にフォーカスして、毎週、毎週、ベストなメンバーを選ぶ。そうやって、ここまでうまくやってきましたので」
 チーム全員が目ざす高みへ、一歩ずつ、着実に。そのために、目の前の試合に集中していく、ということなのでしょう。

■「いまは1週間のプロセスがとてもいい」

 この日最後にマイクを握ったのは、キャプテンのNO.8リーチ マイケル選手です。「みなさん、こんにちは」とあいさつをし、最初にチームの現況を伝えました。
「チームの雰囲気はとても良くて、長いブレイクの間に試合に出たり、身体を休めたりして、試合へ向けてみんなとてもワクワクしていますね」
 リーチ選手は2月6、7日に実施された男子15人制トレーニングスコッドの合宿に参加しました。2日間という短い活動でしたが、「若い選手とたくさんコミュニケーションも取れたし、とても良かったです」と話します。そのうえで、およそ4週間の中断期間中を振り返りました。
「4週間どうやって過ごすのかを、自分のなかでは大事に考えていいました。ここから激しい5連戦があるので、休んでばかりだと持たない。身体の状態をもう一段階上げようと。そのためにフィットネスやウエイトをやったり、足りないところをやったり。たくさん走りましたし、メリハリもあって、すごくいい4週間を過ごせたと思います」
 チームは15シーズンぶりとなる開幕6連勝を飾りました。その要因を問われると、迷うことなく答えていきます。
「6連勝という結果については、自信を持っていいと思います。ただ、シーズンの後半に仕上がってくるチームもあるので、自分たちも満足せずにまだまだ成長しないといけない。試合を振り返ると、勝ってはいるけれど自分たちのベストパフォーマンスを出しているかと言えば、そうでもない。これからまだまだ、成長しないといけない。連戦のなかでも、厳しくやっていきたいと思います」
 自身は13年シーズン以来のキャプテンを務めています。プレーヤーとしての献身性はもちろんコミュニケーションのブリッジパーソンとして、チームのためにハードワークをしています。
「1試合、1試合を大事にするのは、キャプテンになってから意識しています。あとはコーチ陣とどれだけコミュニケーションを取れるか。6連勝のなかで練習を少しずつ変えたりして、試合で爆発できるようにプロセスを大事にしてきました」
 チームがベストパフォーマンスを発揮するための逆算から、試合へ向けたプロセスを見つめ、トッドHCをはじめとするスタッフ、FLシャノン・フリゼル選手やSOリッチー・モウンガ選手、さらには日本人でチームの中心となる選手と話し合いを重ねたと言います。
「一番変えたのはフィジカルです。フルコンタクトの回数と、それをどこへ持っていくか。月曜日から火曜日はフィジカルを上げ、水曜日はオフ。木曜日は小さいフィジカルのドリルをなくし、ほぼ試合と同じ強度で8分間、アタックとディフェンスのフルコンタクト、何でもアリで。自分たちのメンタリティ、フィジカルもそこで仕上げる。それまでは全部の練習を100パーセントでやっていて、試合当日に疲れが残ったりしていた。いまは1週間のプロセスが、とてもいいと思います」
 チームを牽引するリーチ選手の言葉からは、日々の練習が勝利の裏づけとなっていることがはっきりと読み取れます。高次元のプレーを維持するキャプテンとともに、東芝ブレイブルーパス東京は今後も高いパフォーマンスを披露していくのでしょう。

(文中敬称略)
(ライター:戸塚啓)


【連載企画】東芝ブレイブルーパス東京 「物語り」
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【試合情報】
2/24(土)はホストゲームとして、秩父宮ラグビー場にて横浜キヤノンイーグルスと対決します!
チームは6連勝!この勢いのままにプレーオフに向け勝利を重ねていきます!
ぜひ皆様のご声援をよろしくお願いいたします。

2/24(土) vs横浜キヤノンイーグルス(@秩父宮ラグビー場)
※当日券も会場にて販売いたします(11:30~)

 

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