【物語りVol.99】「ポジティブな学び」を結果へつなげる

■ホストゲーム過去最高の入場者数を記録

 3月11日、東芝ブレイブルーパス東京は定例記者会見を行ないました。「世界有数のユニークなラグビークラブを目ざす」一環として、クラブは定期的に様々な情報を発信しています。
 東芝ブレイブルーパス東京は、2月24日の横浜E戦で今シーズンのホストゲームの半分を終えました。27対7で勝利したこの試合では、過去最高となる1万3581人の入場者数を記録しています。
荒岡義和代表取締役社長は「昨シーズンからお話してきた1万2千人プロジェクトを、ようやく達成することができました」と話し、観客動員について説明していきます。
「4試合の平均入場者数は1万人を超えています。昨シーズンの6千人弱に比べて、80パーセント近く増えています。有料入場者数も昨シーズン比で40パーセント増となっています」
 ホストゲームがあと4試合残っていることもあり、荒岡社長はこれらの数字を「あくまでも参考値」ととらえます。同時に、「前半戦は無料招待を増やして新たなファン層を掘り起こし、後半戦の有料での来場へつなげようと考えました。まだはっきりと分かりませんが、そのような流れになってきているのかな」と、期待を込めて語ります。

■ホストエリアの大学と連携

 今シーズンは東京メトロポリタンテレビジョン株式会社(TOKYO MX)とメディアパートナーシップを締結し、第1節の静岡BR戦、第5節の三重H戦、第7節の横浜E戦と、ホストゲーム3試合がTOKYO MXで放映されました。その視聴率は、サッカーJリーグのFC東京や、プロ野球の福岡ソフトバンクホークスの試合に、見劣りしないとのことです。
 メディアパートナーシップは周知を大きな目的としているだけに、「TOKYO MXさんは1500万世帯、3000万人ほどが視聴可能とのことで、視聴率に照らすと単純計算で20万人前後が視聴したことになります。いい宣伝効果になったと感じています」と、荒岡社長は話します。
 チームの周知との関連では、2月の会見で触れた大学との連携が具体化しています。東京女子体育大学との連携が発表されました(注:3月5日付けでリリース済)。同大学のスポーツサポーター倶楽部、新体操競技部とともに、告知協力、会場イベント、ホストゲームでの応援などでの連携が想定されています。
「マーケットを広げる意味では、若年層にたくさん来ていただくことが大切だと感じています。女性の視点、若年層の視点を取り入れることで、マーケットを広げていくきっかけになれば。同時に、ホストゲームの告知などに絡んでいただくことで、スポーツビジネスを通した学びの場を提供できたらというのもあります」
 地域に必要とされ、愛されるクラブとなるために。東芝ブレイブルーパス東京は事業会社としての採算性はもちろん、ホストエリアへの貢献も追求していきます。

■埼玉WK戦は「アームレスリングのよう」

 荒岡社長に続いて、森田佳寿コーチングコーディネーター(CC)が登壇しました。アタックコーチも担う森田CCが定例会見に出席するのは、これが初めてとなります。
 最初に、会見の2日前に行なわれた埼玉WK戦の総括がありました。森田CCは「非常にいい学びがたくさんありました」と切り出します。
「どのチームも戦力を補強していて、これまでも強度の高い試合がたくさんありました。そのなかでも埼玉WK戦はアームレスリングをしているかのような、お互いにプレッシャーをかけ合って、ミスをすればそこに付け込んで。モメンタムの取り合いがヒリヒリするような、いいゲームでした。いくつかいいモメンタムを重ねたところで、それをスコアまで持っていく。もしくは反転させる。埼玉WKは、ゲームの握りかたがすごくうまかった」
 全勝対決として注目を集めた一戦は、24対36という結果に終わりました。冒頭で触れた学びを、解きほぐしていきます。
「僕たちが作ってきているいいディフェンスをして、アタックでプレッシャーをかけていくところでのエクスキューション(をさらに高めていく)。ゲームの流れで多く見られた規律、プレッシャーのかけ合い、肝となる場面の取り合いのところで、相手に先行された部分があり、結果として敗戦することになりました。それは、これから続くシーズンにポジティブな学びとして生かせます」

■ディフェンスへの注力はオフェンスにも好影響を

 今シーズンの戦いでは、ディフェンスの向上が指摘されています。森田CCも「昨シーズンからの学びで注力してきました」と頷き、「新しいディフェンスコーチのタイ・リーバの働きもそうですし、チームとしてグラウンド上と外でディフェンスにかけている時間も見直し、注力してきました」と話します。具体的な数字も提示されました。
「昨シーズンは16試合で被トライが52、今シーズンは埼玉WK戦前の8試合で被トライが21です。単純計算で10減らすことができている。選手たちのディフェンスに対するフィーリング、グラウンド上での自信を見ると、順調に進んでいるのでは」
 タイ・リーバDFコーチの存在について問われると、ふたつの優れた要素をあげました。
「ひとつ目は、選手の巻き込みかたです。ディフェンスのグループのリーダーを率いて、彼らとともに練習、練習の振り返り、練習へ向けての落とし込みを、うまく作っている。選手たちが責任を持って打ち込む働きかけは、素晴らしいと思います」
 ふたつ目は、彼自身の経歴に基づいた理解力だ。
「アタックコーチ、ヘッドコーチの経験もあり、アタックの理解、ゲームの理解が高い。アタックとディフェンスは分かれていかないので、チームを作っていくなかでアタックとディフェンスを完全に分けることなくここまでこられたのは、彼のゲームの理解が高いから。そこも強みだと思います」
 そうした結果として、アタックにもポジティブな変化が読み取れます。
「昨シーズン多くのトライを取り、それがどこから始まっているかを見るとセットピース、ラインアウトやスクラムが多かった。今シーズンはより様々なソースから、どこからでも取れるように準備してきました。ラインアウト、スクラムが起点でないトライが増えているのは、ポジティブにとらえています。コーチングスタッフ、選手を含めて、チームとして共同して働けていることに、好感触を得ています」
 共同作業を進めているひとりとして、森田CCはリッチー・モウンガの献身性を明かしました。「彼だけでなくみんなでクリエイティブなものを作れている」としつつ、オールブラックスのレジェンドの日常を披瀝していきます。
「彼はホントに勝ちたいと思っています。ホントに貪欲です。外国人はわりと自分の時間、家族との時間を大切にして、彼も家族が大好きですが、週の始まりにコンタクトしてきて、『次の試合について教えてもらっていい?』などと聞いてきて、必要ならリモートでも話をしたりします。自分が関わろうとする努力、犠牲を惜しまない姿勢は素晴らしいと思います」
 森田CCの言葉には、好調の要因が散りばめられていました。目前の試合から学びを得て、チームは成長と進化を続けていきます。

(文中敬称略)
(ライター:戸塚啓)


【連載企画】東芝ブレイブルーパス東京 「物語り」
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【試合情報】
3/24(日)はホストゲームとして、秩父宮ラグビー場にてブラックラムズ東京と対決します!
チームは9勝1敗と好調キープし、この勢いのままにプレーオフに向け勝利を重ねていきます!
ぜひ皆様のご声援をよろしくお願いいたします。

3/24(日) vsブラックラムズ東京(@秩父宮ラグビー場)

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