小鍜治 悠太 | PR

YUTA KOKAJI

小鍜治 悠太
小鍜治 悠太
ニックネーム カジ,KJ,GODZILLA
生年月日 1998/7/8
身長(cm) / 体重(kg) 177cm / 113kg
足のサイズ(cm) 27.5cm
出身地 大阪府
星座 かに座
血液型 O型
略歴 大阪産業大学附属高校天理大学
代表歴 Jr.Japan 
在籍年数 3

小鍜治 悠太物語

※この物語は2022-2023シーズンにインタビューした内容です

 天理大学在籍当時の小鍜治悠太にとって、東芝ブレイブルーパス東京は意中のチームではなかった。2021年度に大学日本一を勝ち取るチームで強力なスクラムを形成していた彼には、複数のチームからオファーが届いていた。
「ホンマはまったく来る気がなくて、練習参加も練習するつもりで来ようと。第一候補は別のチームで、大学の同期にもそっちへ行くと言っていたのですが、練習参加から戻ったら何でか分からんけどブレイブルーパスの自慢ばかりしていたんです。練習がメチャメチャ楽しくて、すごいチームだなと思って」
 東芝ブレイブルーパス東京というチームが、小鍜治のなかで少しずつ大きくなっていった。しかしそれでも、第一候補のチームへ行こうとの気持ちは変わらなかった。
「その第一候補のチームとブレイブルーパスのリーグ戦があって、勝ったほうにお世話になろうと思って、ブレイブルーパスは負けたんです。でも……」
 試合後にSNSを見ていた小鍜治は、画面をスクロールする指を止めた。止まった、と言ったほうがいいだろう。
「誰か分からなかったんですけど、ブレイブルーパスの選手が泣いている写真があったんです。僕は幼稚園からラグビーをやってきて、小学生ぐらいからラグビーの試合も見るようになりましたが、負けて泣いている人はあまり見たことがなかった。それに心をめっちゃ打たれて、ブレイブルーパスにお世話になろうと決めました」


 東芝ブレイブルーパス東京でラグビーをしたいという思いを固めた理由が、もうひとつある。湯原祐希さんの存在だ。
「練習参加をしたときに、めっちゃ教えてもらいました。この人に教えてもらったら絶対に成長できるなと思いました。湯原さんは『何か悩みがあったら連絡をしてくれ』と言ってくれまして、スクラムの調子が悪かった時にホンマに電話したんです。自分を含めた天理大学のFW陣6人が、スマホの画面を食いつくように見て、湯原さんに教えてもらいました。ホンマに魅力的な方でした」
 それから1週間後、湯原さんが急逝したとの連絡を受ける。小鍜治はラグビー部の監督に許可をもらい、奈良県から首都圏へ車を走らせてお葬式に参列した。新型コロナウイルスの感染拡大を考慮して、公共交通機関を使うのは控えた。
 湯原さんの写真の前で、静かに手を合わせた。
小鍜治の胸中で、ある決意が立ち上がった。
「それまでの僕は、ブレイブルーパスに入って湯原さんから色々なことを学びたい、湯原さんに教えてもらってベストな選手になる、と考えていました。けれど、湯原さんが残していったスクラムをすべて吸収して、湯原さんが思い描いたようなプレーヤーになって、湯原さんが愛した東芝というチームを優勝させる、という思いを抱きました。湯原さんのおかげでチーム愛が深まって、いまの自分があると感じています。湯原さんに教わりたかったという気持ちは変わらないですけれど、自分のなかでは切り替えてやってきました」

 ルーキーイヤーの昨シーズンは、開幕節からスタメンに名を連ねた。即戦力のプロップとして大いに存在感を発揮したものの、人知れず悩みと向き合っていた。
「シーズンが進むにつれて、スクラムの形がホンマに分からなかったんです。3月のキヤノン戦は勝ったけどスクラムはメチャメチャいかれて。試合後に(森)太志さんから、『どうした、顔が死んでるぞ』と言われました。それぐらい自分に腹が立っていたというか」
 その後は良い感覚と悪い感覚が、交互に訪れるような時間を過ごした。改善のきっかけをはっきりとつかめないまま、ルーキーイヤーは幕を閉じた。
「自分のなかで流れが変わったのは、プレシーズンですかね。オフの間にリセットしたのと、周りの先輩たちにアドバイスをもらって。知念さんと深村さんには、シーズン中のダメなときから相談をしていました。深村さんが『スクラムは腰とハム(ストリングス)がグッと入ったら、いいのが組める』と話していて。胸とか肩のように前じゃなくて、身体の後ろが大事だよなと納得できて、鳥肌が立ったんです」
 パズルのピースがハマるように、頭のなかが整理された。ほぼ時を同じくして、迷いを吹っ切ってくれたふたりの先輩がチームを離れた。知念雄は三菱重工相模原、深村亮太は豊田自動織機の一員となっている。
「そこはいままでどおりライバルです。チーム内のライバルでしたけど、いまは敵チームでスクラムを組むライバルです。おふたりに対する僕の熱さは変わりません。負けたくないです」

 大学日本一まで上り詰めた天理大学を、「スター選手のいない雑草軍団」と表現する。大学の同期でともに東芝ブレイブルーパス東京入りした松永拓朗とは、「めっちゃ天理に似ているよな」と話している。
 東芝ブレイブルーパス東京と天理大学に共通点があるのは、おそらく間違いないのだろう。そして、その共通点を理解できるということは、小鍜治は“東芝マインド”の持ち主なのである。
いまでは嬉しそうにこう話す。
「ブレイブルーパスに来てホンマに良かったです。来て良かったなと、めっちゃ思います!」
(文中敬称略)
(ライター:戸塚啓)

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