【物語りVol.177】リーグワン第12節レビュー 暗闇を切り裂き、「光の射す方向」へ



■「チームは優勝をあきらめていません」


NTTジャパンラグビーリーグワン2025-26 第12節(交流戦)、三重H戦が26年3月22日に秩父宮ラグビー場で開催されました。

今節のホストゲームは、『SAKURA ONE FASTIVAL』のコンセプトで特別なイベントが用意されました。まずは試合前に、新小学1年生がランドセルを背負って“お披露目行進”をしました。26年度の新加入選手5人が、子どもたちをエスコートしました。

また、3年目となるファンクラブ会員向けの人気企画『ONE LUPUS Meeting』が実施されています。試合前には記者会見場での疑似記者会見体験、ハーフタイムには事前募集した新加入選手への質問が採用されました(LUPUS QUESTION)。


 



この試合で選手たちは、ベビーピンクが鮮やかな3rdジャージーを着用しました。試合は前半6分のリッチー・モウンガ選手のトライで動きます。6節のS東京ベイ戦から追いかける展開が続いていましたが、7試合ぶりに先行しました。

前半は5対7で折り返しますが、後半8分にアンドリュー・マカリオ選手のトライ、モウンガ選手のコンバージョンキックで12対7とします。その後は一進一退の攻防が続き、同37分にモウンガ選手のペナルティゴールで22対21とリードします。しかし、同42分にペナルティゴ―ルを決められ、22対24で試合は終了しました。




試合後の記者会見でトッド・ブラックアダーHCは、「心が痛い敗戦となりました」と沈痛な面持ちを浮かべました。6試合連続で勝利のない現状について、「自分たちらしいラグビーを、一貫性を持って遂行できていない」と分析します。そのうえで、「苦しい状況が続いていますが、改善できている部分は見せられた。とくに後半は速いテンポでプレーして、相手にプレッシャーをかけることができました」と、ポジティブな要素をあげました。

トッドHCに続いてマイクを持ったリーチ マイケル主将は、「チーム状況は正直とても苦しいです」と、ストレートに思いを明かしました。ONE LUPUSのみなさんには、「結果がついてこなくて、ホントに申し訳ない気持ちです」とのメッセージをおくりました。

「この苦しい状況からどう抜け出して、勝つところまで持っていけるか。選手、コーチ陣が一丸となって考えないといけない。優勝に向けてやるべきことを、一生懸命に考えてやっていきます。チームは優勝をあきらめていません。チーム内では少しずつ良くなっているところは実感しています」

グラウンド上で、ロッカーで、頼れる主将はチームを鼓舞しています。




■「見えないところで全員がハードワークしている」

後半29分までプレーした木村星南選手は、「前節とはちょっと違って、僕たちの気持ちとかやろうとしていることは、見ている人たちに少しでも伝わったかなとは思うんですが」と、チームの変化を口にします。マイケル・ストーバーグ選手も、「外からはうまくいっていない部分が見えやすいと思いますが、見えないところで全員がホントにハードワークしています」と話します。

アフ・オフィナ選手は前半31分、佐々木剛選手のHIAにより出場しました。「チームが苦しいからこそ、何とか貢献したい」との気持ちを、一つひとつのプレーで示しました。リーチ主将と常日頃から練習しているタックルに、魂を込めました。

同じくリザーブの濱田将暉選手は、後半25分からグラウンドに立ちました。25年2月の三重H戦以来の出場です。トッドHCが「アームレスリングのようだった」という拮抗した展開で、強みとするボールキャリーを見せました。

「昨シーズンはずっとケガに悩まされて、その三重H戦も15分ほどで肉離れをしてしまって。そこから復帰してまたチームを離れてという感じだったので、今シーズンこそはという意気込みでプレシーズンから臨んできました。なかなかメンバーに選ばれることはなかったんですが、自分自身にフォーカスを当てて準備をしてきました」

持ち前の爆発的なスピードで、次は勝利へ結びつく決定的な仕事を──。濱田選手も「流れを変えられる選手にならなければ」と、落ち着いた口調に闘志をにじませました。

池戸将太郎選手も、シーズン初キャップを記録しました。後半33分から出場しています。

「時間的にもできることは限られてくるなと思っていましたが、少し迷いながら試合に入った部分もあって。もっとアグレッシブにできた、という反省があります」

昨年はSHで起用されましたが、この日はCTBマイケル・コリンズ選手に代わっての出場です。

「パスもキックも違うので、難しさはもちろん感じています。でも、それは分かっていたことなので、自分のプレーを評価する理由にはなりません」

悔しそうな表情を浮かべますが、視線はしっかりと前を向いていました。



■「厳しい状況を変える力が私たちにはある」


この日の結果を受けて、東芝ブレイブルーパス東京は5勝7敗の勝点26で6位となっています。上位の背中は見えていますが、7位以下の足音が少しずつ大きくなってきた印象です。

モウンガ選手は「まずはトップ6に入り切ることを意識したい」と言います。ONE LUPUS MeetingのBBP(Brave Lupus Best Player)に、3年連続で選出されました。

「チーム内で話すべきことは話し尽くしたので、ここからは自分自身がどれだけプレーでチームを引っ張れるか、という段階に入ってきたと思います」

前節までのとの比較でポジティブな変化を指摘した木村選手も、「でも、負けてしまっていますので」と、表情は崩しません。課題をあげていきます。

「ホントにちょっとのペナルティで最終的にスコアされるというのは、引き続き修正していかなきゃいけない。自分たちで自分たちの首を絞めていたら、前へ進めません」

第6節以来の出場となったマカリオ選手は、「チームとしてまだ課題が残っています。全員が役割を果たすことが大事です」と話しました。ストーバーグ選手も「全力を尽くすことが大事」と語り、「厳しい状況を変える力が私たちにはある」と、気持ちのこもった言葉を発しました。

次節はS東京ベイと激突します。

ストーバーグ選手は「恐れずに私たちらしく向かっていく」と、迷いのない表情を浮かべます。木村選手も揺るぎのない意思を言葉にします。

「プライドを持って戦います。これまでどおり、目の前の試合を大事する。先は見ていません」

今度こそ、暗闇を切り裂いて、光の射す方向へ。全員が思いを重ねていきます。


(文中敬称略)
(ライター・戸塚啓)




次戦のホストゲームは、4/5(日)13:00より大和ハウスプレミストドーム(北海道)にて、浦安D-Rocksと対戦します。
北海道でのホストゲームとなりますが、ONE LUPUSの皆さまのたくさんのご来場をお待ちしております!!

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