【物語りVol.54】シーズン前半戦から見えたもの

■告知効果で当日券の売り上げがアップ

 2月20日(月)、東芝ブレイブルーパス東京は定例記者会見を行ないました。昨年8月の1回目から7回目を数え、クラブの様々な情報を発信する機会となっています。
 2022-23シーズンのリーグワンは、2月18、19日に第8節を終えました。全日程の半分を終えたことになります。そこで、荒岡義和代表取締役社長が、ホストゲーム5試合を含めた前半戦を振り返りました。
「昨年の12月24日、1月7日、22日、28日、2月5日と、ホストゲーム5試合を終了しました。私たちは1万2千人プロジェクトということで、色々な知恵を出して集客をしてきましたが、いまのところはなかなかハードルが高いです。1月22日の5節から2月5日の7節までのホストゲーム3連戦は、平均入場者数が5865人でした。私たち無料招待を限定的にしていて、この3連戦は有料入場者数が90パーセント以上。5試合の平均でも90パーセント以上になります」
 リーグワン全体を見ると、1節と3節は3試合で1万人を超えました。しかし、4節以降で1万人以上を集めたのは、7節の東芝ブレイブルーパス東京対東京サンゴリアス戦のみとなっています。荒岡社長は「4節以降は平均入場者数が落ちています。シーズンが終わった後に考察をしなければならない」と説明しました。
 ホストゲームの入場者数については、星野明宏プロデューサーから補足説明がありました。2節の開催日がクリスマスイブ当日だったことや、ホストゲームが3連戦だったことを踏まえつつ、「今シーズンは当日券が非常に出ています」と、告知の効果に触れました。「経営的な観点から色々なものが見えてきました。何かのせいにするではなく、ここからどうしていこうかというスタンスです」と、経営力の強化をはかっていきます。

■多彩なイベントで「家族」の輪が広がり

 今シーズンはグッズの売り上げが好調です。8節のビジターゲームでも試験的に販売をしたところ、ブレイバーと一般のファンから好評を得たとのことでした。荒岡社長は「ビジターゲームでの販売にも大変意味があります。商品の売れ筋を見極めながら「後半戦へ向けて新商品を投入していきます」と話しました。
 ホストゲームでは試合前、ハーフタイム、試合後に、様々なイベントが実施されています。
 1月22日と2月5日のホストゲームでは、試合前にチーム歌『王者 猛勇狼士』の生歌唱がありました。メインボーカルの井上雅人さんの力強い歌声が、スタジアムに響き渡りました。荒岡社長によれば、「選手たちも歌うようになっている」そうです。
 趣向を凝らしたイベントのなかで、荒岡社長は「一番印象的なもの」として『ブレイバーファミリーロード』をあげました。
「2月5日の試合については、出場した選手とノンメンバー全員が正面入り口付近に並び、ファンクラブ会員を中心としたお客様をお見送りしました。選手に声掛けができるということで、みなさんに喜ばれました」
 会場を訪れたリーグワンの関係者からも、「素晴らしい取り組み」との評価を得ました。今後のホストゲームでも、続けていく予定となっています。
 世界有数のユニークなラグビークラブを目ざすとの思いが、ひとつずつ形になっています。それがブレイバーとのつながりを深め、東芝ブレイブルーパス東京という「家族」の輪が広がっています。

■残り8試合で勝点「32」をノルマに

 続いて、薫田真広GMがシーズン前半戦を振り返りました。
 8節を終えて4勝4敗で5位となっていますが、4敗のうち3敗は7点差以内で、ボーナスポイントを獲得しています。薫田GMは「私が惜敗と言ってはいけないかもしれませんが、チームのベースアップをやってきて、チーム力は上がってきている。手ごたえは感じている」と語ります。
 そのうえで、現状の課題に選手層をあげました。
「なぜ勝てなかったのかについては、選手層で上位チームとの差が表われているなと。トップ4(のレベル)で戦える選手を15人×2チーム分の30人抱えることが、このタフなリーグワンで勝ち抜く最低条件かなと思っています。そういう選手を今後も育成していきたい」
チームの目標は2シーズン連続のプレーオフ進出です。そのための具体的なノルマにも、薫田GMは言及しました。
「昨年と同じ勝点53が、プレーオフの境界線になってくるのではないかと。現在21ですから、残り8試合で32ポイントをどう勝ち取るか。そこにしっかりと照準を合わせたい」
 3月4日の第10節、4月14日の第15節、同21日の第16節(最終節)のホストゲームには、冠スポンサーがつきました。薫田GMは「ラグビー界、リーグワン全体を盛り上げるためにも、残り8試合でプレーオフ進出を果たしたい。冠スポンサーがついた4月21日ので、最終節で自力で勝ち取る」と、強い決意を表わしました。
 後半戦へ向けては、4人の大卒新人選手のアーリーエントリーが検討されています。3月4日のホストゲームでは、その4人のお披露目が行われる予定です。

■トッドHC「いい学びを得ています」

 

 薫田GMの振り返りを受けて、この日はトッド・ブラックアダーHCも登壇しました。「オハヨウゴザイマス」と日本語で挨拶をし、前半戦をレビューしていきます。
「直近の2試合(7節の東京SG戦、8月の横浜E戦)は苦しみました。その大きな部分は、自分たちでプレッシャーをかけてしまっているということです。少しフラストレーションがたまるのは、自分たちでコントロールできるところ、自分たちができるところができていないのです」
横浜E戦は48対59で敗れたものの、後半は33対21とスコアで上回りました。トッドHCも「後半については、自分たちのラグビーができるところはしっかり見せられたと思います」と評価しました。
 前半戦の結果について、51歳の指揮官は相対的な視点からも分析します。6年ぶりにトップ4に食い込んだ昨シーズンを受けて、対戦相手の包囲網がより厳しくなっているのです。
「昨シーズンとの違いとして、対戦相手が自分たちに対してしっかり準備をしてくる。自分たちのスタンダードも、それに合わせて上げていかなければいけません。リーグワン全体を見ても、多くのチームが補強をして、より強くなり、選手層も構築されていると感じます。競争力が高まり、勝つのが難しいリーグになっていますが、それは私たちが求めているものでもあります」
 会見に集まった報道陣からは、ここまで出場機会の限られている中尾隼太選手についての質問がありました。トッドHCはケガによる離脱であることを明かし、「今週からフルでトレーニングができる状態に戻っています」と説明しました。
 4勝4敗という結果の裏側で、チームは確実に成長しています。
前半戦の戦いぶりを「多くの好チームが通過していく地点」としたトッドHCは、チームへの期待を言葉にしました。
「いい成長の糧だと認識しています。自分たちは学べています。ミスをおかしています。ただ同時に、ここよりも絶対に良くなるという気持ちでいます。すごくいい学びを得ています。いい信念を持てていますし、ハードワークができている。継続して学び続けることができれば、すごく良くなると思います」と話します。そして、プレシーズンから何度も口にしてきた言葉で締めくくりました。
「すごくいいチャレンジで、ワクワクしています」
 昨シーズンは9節から7勝1敗の好成績を残し、プレーオフトーナメントに進出しました。チームとしても個人としてもより高いレベルが追求されている今シーズンも、後半戦の巻き返しが期待されます。
(文中敬称略)
(ライター:戸塚啓)



【連載企画】東芝ブレイブルーパス東京 「物語り」
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【チケット情報】
3月4日(土)はコベルコ神戸スティーラーズと対決!!
ぜひ秩父宮ラグビー場にお越しいただき、東芝ブレイブルーパス東京の応援をよろしくお願いします!
3/4(土)コベルコ神戸スティーラーズ戦(@秩父宮ラグビー場)

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