桑山 淳生 | WTB

ATSUKI KUWAYAMA

桑山 淳生
桑山 淳生
ニックネーム あつき
生年月日 1997/11/15
身長(cm) / 体重(kg) 183cm / 92kg
足のサイズ(cm) 28cm
出身地 鹿児島県
星座 さそり座
血液型 AB型
略歴 鹿児島実業高校早稲田大学
代表歴 -
在籍年数 4

桑山 淳生物語

※この物語は2022-2023シーズンにインタビューした内容です

 アスリートとしてのポテンシャルは、生まれながらにして高い。
 ラグビーは小学校3年から始めた。兄の聖生が友だちに誘われ、淳生もついていった。
 中学ではラグビーと陸上競技をかけ持ちした。部活動で走り高跳びに打ち込むと、すぐに才能が芽吹く。練習では全国大会に出場できる高さを飛んでいた。
「ベストは188センチです。中学生にしては、跳べていたと思います。ただ、何でか知らないですけど、陸上の大会がラグビーの試合の次の日とかで、大会になるとまともに結果が出ないという……」
 桑山のベスト記録は、2022年の全日本中学校陸上競技選手権大会で4位に相当する。大会で記録を残せなかったとしても、将来性に疑いの余地はない。陸上の強豪校からも誘いを受けたが、桑山は陸上ではなくラグビーを選ぶ。一学年上の兄と同じ鹿児島実業高校で、楕円球を追いかけることを選んだ。
「2年の5月に高校日本代表候補に選ばれて、U17日本代表に入ったあたりから、ラグビーをちゃんと勉強しようと思うようになりました。でも、いま振り返ると全然勉強できていなかったですね」

 センターのポジションをつかみ、2年時には花園に出場する。ところが、3年進級直前に長期の戦線離脱を強いられる。前十字靭帯を断裂してしまったのだ。
「全治まで8か月かかりましたので、3年は花園の県予選まで試合に出ていません。花園は1回戦でタコ負けして終わりました」
 大学も兄と同じ早稲田へ進む。期待の新戦力として入部直後からスタメンを勝ち取るが、ここでまた桑山を苦難が襲う。前十字靭帯を、もう一度断裂してしまうのだ。
「同じところを切ってしまいました。今度は手術を2回しなきゃいけないので、14か月かかると言われて。2年の夏までできないのかと、さすがに落ち込みました」
 カレンダーを10数枚めくった。大学生になって2度目の春を過ぎ、夏がめぐってきたころに、桑山は戦列に復帰した。
「14か月もリハビリを頑張れるかなと思ったんですけど、トレーニングにきちんと向き合えたというか、身体の改造に向き合えて、ケガをする前よりも良くなった気がします」
 2年時はウイングで、3年時はセンターでプレーし、4年時はウイングを主戦場とした。明治大学との大学選手権決勝では、残り10分を切ったところでトライを決めた。勝利を決定づけた。
 卒業後の選択肢は複数あった。そのなかで古くから縁があったのは、東芝ブレイブルーパス東京である。
 東芝ブレイブルーパス東京は、プレシーズンの合宿で鹿児島を訪れていた。桑山には地元である。ラグビー教室に参加したり、選手たちに遊んでもらったりした。所属していたラグビーチームの関係者と選手の食事会に、同席させてもらったこともある。
 幼少期から身近に感じていて、憧れを抱いたチームからの誘いは、桑山にとって心が躍るものだったに違いないが……。
「実は必ずしもそれだけが、理由ではなくて。誘ってくれたチームのなかで、一番成長できそうだなと感じたのが理由です」

 2020年度の新加入選手として加入した桑山は、2021シーズンのトップリーグ開幕節で初キャップを獲得した。チームが6年ぶりのベスト4入りした2022年シーズンは、クボタスピアーズ船橋・東京ベイとのプレーオフトーナメント準決勝にも途中出場した。トップ4のレベルを、肌で感じた。
「去年のベスト4は……東芝ブレイブルーパス東京に入ったときから優勝しか考えていないし、優勝したいですけれど、客観視はできるので。昨シーズンのベスト4は、妥当だなと思いました」
 昨シーズン覇者の埼玉ワイルドナイツ、2位の東京サンゴリアス、3位のクボタスピアーズ船橋・東京ベイは、2022-23シーズンもディビジョン1を牽引している。彼我の違いはどこにあるのか。
「細かいところ、じゃないでしょうか。取るべくして取る。守るべくして守る。細かいプレーに違いが出る。チームの細かいルールとかがおろそかになることがあるのは、優勝してきているチームとウチの差かなと、思います」
 嗅覚に似た悟性を持つ桑山は、自分にも、チームにも、気休めを許さない。課題を置き去りにした平穏ではなく、課題を直視した先の進化を求める。
 3年目となる2022-23シーズンは、開幕前にあごを骨折して入院生活を強いられた。その影響でシーズン前半は試合に絡めず、チームの練習に合流後もK9の立場で汗を流していった。
「試合になればK9とスタメンと別れますけど、バックスは誰が出ても同じレベル、同じクオリティでできるというか。実際に試合に出てみないと分からないところはありますが、練習でそのくらいのクオリティをK9が出すのを含めて、すごくいいチームだなと思っています」
 餓えた思いが膨らんでいる。試合に飢えている。
「まあでも、まずは自分が試合に出ないといけない。やっとあごが治ってきたので、早く出たいですね。メンタル的にもいい状態で復帰してきて、気持ちよくラグビーができているので、いまにフォーカスして頑張ります。いままでの出来事とか、過去の栄光を言い出したら終わりだと思っていますので、自分がうまくなることにフォーカスしてやっています」

 かつて東芝ブレイブルーパス東京でプレーしたリチャード・カフイに、強烈なインパクトを受けた。スタジアムで観戦したなかで、「こんなすごい選手がいるんだ」と初めて思わされた。
「カフイはセンターをやりたいと思ったきっかけで、そのあとはコベルコ神戸スティーラーズでプレーしたアダム・アシュリー=クーパーのプレーをよく見ていました」
 カフイはセンターとウイングを、アシュリー=クーパーはそのふたつに加えてフルバックもこなすユーティリティ・プレーヤーだった。複数のポジションに対応できる必然として、スキルセットはハイレベルだ。
「いまはこの選手みたいになりたい、というものはなくなりました」と桑山は言う。25歳時点での理想像を、自分なりの言葉で語っていく。
「完璧という言葉は好きじゃないし、正しいとも思わないんですが、完璧になりたいというか……ラグビーのスキルがホントに高かったら、どのポジションで使われてもできると思うんです。そのレベルにまで、ラグビーの理解とかスキルを高めていきたいというのが、いまの目標ですね」
 自分を極限まで高めたい。
 その先に、どんな景色が広がっているのか。
 リーグワンのピッチが、桑山を待っている。

(文中敬称略)
(ライター:戸塚啓)

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