中尾 隼太 | SO

HAYATA NAKAO

中尾 隼太
中尾 隼太
ニックネーム 中尾君
生年月日 1995/1/20
身長(cm) / 体重(kg) 176cm / 89kg
足のサイズ(cm) 28cm
出身地 長崎県
星座 やぎ座
血液型 O型
略歴 長崎北陽台高校鹿児島大学
代表歴 セブンス日本代表
在籍年数 7

中尾 隼太物語

※この物語は2022-2023シーズンにインタビューした内容です

 全国大学選手権の出場経験がない鹿児島大学から、当時のトップリーグの東芝ブレイブルーパスの一員となった。加入6年目の22年には、日本代表初キャップを獲得した──中尾隼太のキャリアはサクセスストーリーとして、あるいは異色のキャリアとして、取り上げられることが多い。
高校時代に「花園」に出場しているし、大学4年時には7人制日本代表に選出されている。そもそも東芝がリクルートするほどだから、まったくの無印ではないのだが、光の当たらない部分がクローズアップされがちだ。
確かに、エリートではない。東芝入りした中尾を待ち受けていたのは、身がすくむほどに高く険しい壁だった。
「1年目の最初の頃はホントに自信がなくて、プレーも下手くそで、練習に行くのが嫌で。寮の部屋で『明日も練習か、行きたくないな』と思いながらも、誰かに相談できるわけもなくて。入社してから夏のシーズン開幕戦までに、7キロぐらい痩せたんです」
 前向きな気持ちを置き忘れたまま、シーズン最初のプレシーズンマッチが迫ってきた。出場が決まった中尾に、当時の廣瀬俊朗コーチから連絡が入る。
「トシさんから前日にLINEが来て、『いまは学んでいる段階やから、好きなようにやっていいよ。開き直って頑張れ』みたいな内容だったんです。自分自身にプレッシャーをかけてしまっていたのですが、『若いんだからいいやん、自由にやれ』とも書いてあって、それで吹っ切れました。そこからいい感じにハマって、トップリーグの開幕戦で10番で出られるぐらいになったんです」
 東芝ブレイブルーパス東京で着実に力を蓄えていき、今年の夏シーズンで日本代表候補に初めて名を連ねた。そこでも彼は、人知れず挫折を味わっている。
「大学から東芝へ入ったときに、スタンダードの違いにすごく驚きました。東芝でそれが当たり前のような感じになってきて、そこで日本代表へ行ってまた、『あ、こんなに高い基準でやらないといけないんだ』と。それに対して積極的にやることに関して、少し出遅れたかなというのが春のキャンプであって。ジェイミー・ジョセフHCからも『積極的にやっていかないといけない」と言われました。ただ、コンディションとかスキルのレベルが充実してこないと、やっぱり気持ちが前へいかないんです』
 春シリーズを終えた中尾は、自分を鍛え直した。日本代表で感じた悔しさが、持続力を持って彼を支えた。
「朝5時に起きて6時から東芝のグラウンドでワークアウトして、ご飯を食べて練習をして、ご飯を食べてまた練習という3部練習を週5日、それを6週間です。食事は代表と東芝の栄養士とコミュニケーションを取り、体脂肪を落とすためにお魚、鶏むね肉、野菜を基本として、決まった時間にグラムも毎回測って食べるようにしました」
 身体がフィットしてきた。9月からの秋シーズンで、中尾はそれまでと違う景色を見ることになる。
「ラグビーで足りないところはたくさんあるんですけど、走れるようになったし、トレーニングにも積極的に参加して。大きなマインドセットチェンジがあったかなと」
 10月のオーストラリアA代表戦で先発出場すると、11月のフランス戦で途中出場し、初キャップを獲得した。日本代表で感じたスタンダードは、ブレイブルーパスで戦う際のベースにもなっている。
「個人的としてもチームとしても、満たされないハングリーな気持ちがないと成長できないと思っていて、他のチームの同じポジションの選手を客観的に見たら、『個』としては低いと僕は思っていて。それを自分たちがどう認識して取り組んでいるのかが大事で、去年久しぶりにプレーオフへいったのもあるのか、そこのハングリーさは少し弱いなと思う」
 厳しい言葉である。だが、偽らざる気持ちである。チームメイトやブレイバーたちと勝利の喜びを分かち合いたいからこそ、中尾は自信の目に映る現実を真っ直ぐに見つめるのだ。
「それはチーム内での競争もそう。チームファーストですが、まずは自分が試合に出て活躍するという気持ちを全員が持っていないと。最初からチームのためにというのはチームファーストではないし、個人のパフォーマンスも上がってこない。もっと競い合って厳しくやって、自分のパフォーマンスを出すためにどうするか、というようなプロフェッショナルな考えを持つ人が増えてこないと、チームは強くならない。ジャパンで活動したリーチさんとかワーナーとかはその基準を知っているので、自分も頑張りながら、東芝の選手に合うようにして落とし込みをしていけたらと思います」
 リーグワンが開幕して試合を消化していけば、リーグ内の力関係がはっきりしてくる。ただ、敗戦とともに自分たちの立ち位置を確認するようなことになると、リーグの頂点に立つという目標から遠ざかってしまう。だからこそ、中尾は危機感を隠さないのだ。
「僕は東芝の人たちに見出されて、色々と働きかけてもらったからこそ、ひとつずつステップアップできたという思いがある。そういう人たちへの感謝の気持ちがずっとあるので、自分はこのチームでいい選手にならないといけないし、いいチームにしていかないといけない。そういう責任をすごく感じているんです」
 チームのためにも、自らに高いノルマを課す。
「ゴールキックを85パーセント以上、タックルは90パーセンチ以上成功させる。ランとキックとパスの判断をバランス良くして、なおかつ正確性を高く。それを、一貫性を持ってプレーできるようにする」
 全国的には無名の存在から、日本代表にまで昇り詰めた。「自分の可能性に自分でブレーキをかけない。自分次第で何者にでもなれる」が、中尾のモットーだ。
 自分のタスクに、誠実に、根気よく、諦めずに、向き合う。あらゆる場面で最大値を発揮することで、中尾は東芝ブレイブルーパス東京を牽引していく。
(ライター:戸塚 啓)

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