松延 泰樹 | WTB
TAIKI MATSUNOBU
ニックネーム | のぶ |
---|---|
生年月日 | 1990/4/25 |
身長(cm) / 体重(kg) | 186cm / 95kg |
足のサイズ(cm) | 28cm |
出身地 | 大阪府 |
星座 | おうし座 |
血液型 | O型 |
略歴 | 東海大付属仰星高校関西学院大学 |
代表歴 | - |
在籍年数 | 11 |
松延 泰樹の物語
※この物語は2022-2023シーズンにインタビューした内容です
2014年3月9日、東芝ブレイブルーパスはパナソニックワイルドナイツとの第51回日本選手権決勝に臨んでいた。湯原祐希、大野均、リーチ マイケル、望月雄太、小川高廣、廣瀬俊朗らが先発メンバーに名を連ねるなかで、松延泰樹は背番号13のジャージを身にまとった。「のぶ」のニックネームで呼ばれる23歳は、加入1年目のルーキーだった。
「ラグビー人生で初めて決勝の舞台に、しかも国立競技場に立てたのは大きかったですね」
改修される前の国立競技場のスタンドには、母親の姿があった。
「母親はサッカーが好きだったので、国立競技場で息子の試合を観るのが夢だったそうです。で、そのときは病気だったんですが、実家のある大阪からわざわざ来てくれて、国立競技場のピッチに立つ僕の姿を見てくれたんです」
中学2年からラグビーを始めた。高校は大阪の強豪・東海大仰星を選んだ。スピード溢れるセンターだったが、1年時はメンバー外、2、3年時はリザーブに甘んじることとなる。
大学は関西学院へ進むが、ラグビーはあと4年と考えていた。
「高校ではその年代の日本代表に選ばれたこともなく、大学でも代表には縁がないまま進んでいくので、卒業したら就職するつもりでした。けれど、3年のときに慶応との試合があって、そのときにいいプレーをしたのか、たまたま観に来ていた東芝の方から声をかけてもらったんです」
全国的な実績のない自分が、トップリーグの強豪の東芝ブレイブルーパスに誘われるとは。松延の全身を驚きが駆け巡るが、たじろぐことはなかった。
「入ったところで出られるかどうか分からない。けれど、無理やったら無理でいい。挑戦だけでもしてみようと」
加入1年目の13年7月、松延はユニバーシアード競技大会のラグビーセブンズ日本代表に選出された。同大会を6位で終えると、9月にもセブンズ日本代表に招集された。
「東芝では1年目から使ってもらって、日本選手権でも2回戦、準決勝、決勝と3試合連続で使ってもらいました。2022年まで9シーズン在籍させてもらっていますが、シーズンを通してレギュラーを勝ち取ったことがなかったので、今シーズンはしっかりポジションをつかむことを意識してやってきました」
フル稼働したシーズンはないと言うが、1試合もピッチに立たなかったシーズンもない。長期離脱を強いられるようなケガもなく、10年目のシーズンを迎えている。
「今年のプレシーズンはいい感じだったのですが、最後のほうでケガをしてしまって、自分のなかではもったいなかったな、と。ウイングはジョネ(・ナイカブラ)という絶対的な選手がいて、濵田や桑山らもいい選手です。自分はベテランの立場ですけれど、彼らから教わること、彼らのプレーを見て勉強することもある。日々のトレーニングからやるべきことをしっかりやって、アピールをして、レギュラーを勝ち取りたいです」
背筋をしっかりと伸ばして、ラグビーと向き合う理由がある。
ひとつ目は東芝ブレイブルーパス東京への感謝だ。
「ユニバーシアードだったり、セブンズだったり、東芝に入ったからこそ色々な経験をさせてもらった。僕が入ってきた当時は優勝して当たり前のチームで、そこからずっと優勝していなくて、いまこうしてまた優勝がつかめる位置にいる。優勝を決める最後のピッチに自分が立って、みんなと一緒に喜びたい」
優勝の歓喜に浸る姿を、家族に見せたいとの思いもある。
「4歳と6歳の娘が、僕がラグビーをやっていることを認識してくれて、頑張ってと応援してくれるんです。『11番を着けているパパが好き』と言ってくれるので、その姿をもっともっと見せたい。年齢を考えれば1年、1年が勝負なので、頑張らなきゃと」
再び国立競技場のピッチに立ちたい、との気持ちも強い。
「母親は社会人2年目に、がんで亡くなりました。僕が大学4年のときに告知されて、僕らには初期のがんだと説明していたんですが、思い返すとそうではなかったのかもしれません。国立に日本選手権決勝を観に来てくれたあとも、僕の試合をひとりで見に来てくれました。大阪から東京へ来るのは身体への負担が大きかったと思うのですが、何度も応援に来てくれました」
2022シーズンのプレーオフトーナメント決勝は、国立競技場で行なわれた。22-23シーズンのプレーオフトーナメントは、5月20日の開催が決まっている。スタジアムはまだ発表されていないが、国立競技場は有力な候補だろう。
「母はスポーツが好きで、いつも僕を応援してくれていました。姉と弟からは『泰樹ばっかりで贔屓している』なんて言われたりもしましたけど、リーグワンの決勝で国立に立って、天国の母親にその姿を見せたいんです」
加入1年目から10年を経て、再び日本一を決める舞台に立ったら。10年は敗れた決勝で、リベンジを果たしたら──これ以上ないドラマだろう。
「まずは試合に出られるように頑張ります」
22-23シーズン序盤は、メンバー外が続いた。自らを奮い立たせるたくさんの思いを胸に秘め、32歳の好漢は巻き返しを期す。
(文中敬称略)
(ライター:戸塚啓)
2014年3月9日、東芝ブレイブルーパスはパナソニックワイルドナイツとの第51回日本選手権決勝に臨んでいた。湯原祐希、大野均、リーチ マイケル、望月雄太、小川高廣、廣瀬俊朗らが先発メンバーに名を連ねるなかで、松延泰樹は背番号13のジャージを身にまとった。「のぶ」のニックネームで呼ばれる23歳は、加入1年目のルーキーだった。
「ラグビー人生で初めて決勝の舞台に、しかも国立競技場に立てたのは大きかったですね」
改修される前の国立競技場のスタンドには、母親の姿があった。
「母親はサッカーが好きだったので、国立競技場で息子の試合を観るのが夢だったそうです。で、そのときは病気だったんですが、実家のある大阪からわざわざ来てくれて、国立競技場のピッチに立つ僕の姿を見てくれたんです」
中学2年からラグビーを始めた。高校は大阪の強豪・東海大仰星を選んだ。スピード溢れるセンターだったが、1年時はメンバー外、2、3年時はリザーブに甘んじることとなる。
大学は関西学院へ進むが、ラグビーはあと4年と考えていた。
「高校ではその年代の日本代表に選ばれたこともなく、大学でも代表には縁がないまま進んでいくので、卒業したら就職するつもりでした。けれど、3年のときに慶応との試合があって、そのときにいいプレーをしたのか、たまたま観に来ていた東芝の方から声をかけてもらったんです」
全国的な実績のない自分が、トップリーグの強豪の東芝ブレイブルーパスに誘われるとは。松延の全身を驚きが駆け巡るが、たじろぐことはなかった。
「入ったところで出られるかどうか分からない。けれど、無理やったら無理でいい。挑戦だけでもしてみようと」
加入1年目の13年7月、松延はユニバーシアード競技大会のラグビーセブンズ日本代表に選出された。同大会を6位で終えると、9月にもセブンズ日本代表に招集された。
「東芝では1年目から使ってもらって、日本選手権でも2回戦、準決勝、決勝と3試合連続で使ってもらいました。2022年まで9シーズン在籍させてもらっていますが、シーズンを通してレギュラーを勝ち取ったことがなかったので、今シーズンはしっかりポジションをつかむことを意識してやってきました」
フル稼働したシーズンはないと言うが、1試合もピッチに立たなかったシーズンもない。長期離脱を強いられるようなケガもなく、10年目のシーズンを迎えている。
「今年のプレシーズンはいい感じだったのですが、最後のほうでケガをしてしまって、自分のなかではもったいなかったな、と。ウイングはジョネ(・ナイカブラ)という絶対的な選手がいて、濵田や桑山らもいい選手です。自分はベテランの立場ですけれど、彼らから教わること、彼らのプレーを見て勉強することもある。日々のトレーニングからやるべきことをしっかりやって、アピールをして、レギュラーを勝ち取りたいです」
背筋をしっかりと伸ばして、ラグビーと向き合う理由がある。
ひとつ目は東芝ブレイブルーパス東京への感謝だ。
「ユニバーシアードだったり、セブンズだったり、東芝に入ったからこそ色々な経験をさせてもらった。僕が入ってきた当時は優勝して当たり前のチームで、そこからずっと優勝していなくて、いまこうしてまた優勝がつかめる位置にいる。優勝を決める最後のピッチに自分が立って、みんなと一緒に喜びたい」
優勝の歓喜に浸る姿を、家族に見せたいとの思いもある。
「4歳と6歳の娘が、僕がラグビーをやっていることを認識してくれて、頑張ってと応援してくれるんです。『11番を着けているパパが好き』と言ってくれるので、その姿をもっともっと見せたい。年齢を考えれば1年、1年が勝負なので、頑張らなきゃと」
再び国立競技場のピッチに立ちたい、との気持ちも強い。
「母親は社会人2年目に、がんで亡くなりました。僕が大学4年のときに告知されて、僕らには初期のがんだと説明していたんですが、思い返すとそうではなかったのかもしれません。国立に日本選手権決勝を観に来てくれたあとも、僕の試合をひとりで見に来てくれました。大阪から東京へ来るのは身体への負担が大きかったと思うのですが、何度も応援に来てくれました」
2022シーズンのプレーオフトーナメント決勝は、国立競技場で行なわれた。22-23シーズンのプレーオフトーナメントは、5月20日の開催が決まっている。スタジアムはまだ発表されていないが、国立競技場は有力な候補だろう。
「母はスポーツが好きで、いつも僕を応援してくれていました。姉と弟からは『泰樹ばっかりで贔屓している』なんて言われたりもしましたけど、リーグワンの決勝で国立に立って、天国の母親にその姿を見せたいんです」
加入1年目から10年を経て、再び日本一を決める舞台に立ったら。10年は敗れた決勝で、リベンジを果たしたら──これ以上ないドラマだろう。
「まずは試合に出られるように頑張ります」
22-23シーズン序盤は、メンバー外が続いた。自らを奮い立たせるたくさんの思いを胸に秘め、32歳の好漢は巻き返しを期す。
(文中敬称略)
(ライター:戸塚啓)
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