【物語りVol.3】 それぞれの立場でハードワークを

 9月12日、東芝ブレイブルーパス東京は定例記者会見を開きました。
 最初に荒岡義和代表取締役社長が挨拶をします。8月の会見で触れた「世界有数のユニークなラグビークラブを目ざす」ことをもう一度宣言し、この日は以下のクラブスローガンが発表されました。

ラグビーは、物語だ。
我々は、普通を嫌う「智の狼」であり、
新しい物語をつくる家族である。
そして、家族を増やしていく。

 抒情的な印象も誘うスローガンに込めた思いを、荒岡社長が解きほぐしていきます。
 ラグビーを物語としたのは、「我々の存在、我々の試合をファンの生活に必要なエンターテインメントととらえたときに、他のスポーツクラブではなく東京ディズニーランドやネットフリックス、アマゾンプライムビデオなどを意識して行動していく。クラブ、フロントスタッフ、現場が、共通認識を持っていく」と説明しました。日常生活を豊かなものにするエンターテインメントとして、ラグビーという競技の持つストーリー性や、選手一人ひとりの思いなどを、しっかりと打ち出していくのでしょう。
 普通を嫌う「智の狼」との表現は、「当たり前になっていることを疑い、自ら考えて新しいことに挑戦するプロフェッショナルであろう」とのスタンスを言語化したものです。「智の狼」の部分は、クラブカラーの赤で示されます。
 家族とは「チームは家族であり、ファンも家族のように考えて接していく」ことを前提とし、「お互いに応援する、助ける、叱咤激励する。そうした強い絆を、ステークホルダーとも持って、家族というくくりでやっていきます」と説明しました。そうしたつながりをどんどん大きくしていくことが、「家族を増やす』ことになります。
 具体的な数値目標にも触れました。
 東芝ブレイブルーパス東京が自らの事業活動で生み出すものとして、3年後の売上目標を10億円に設定し、そこからの逆算で来たる2022-23シーズンは5億円を目ざすとしています。具体的には、東芝を除くスポンサー収入を2億円以上、試合、ファンクラブ、グッズの売り上げなどで3億円以上とし、1試合平均の入場者数は8000人を、ファンクラブの会員は6000人を目標にするとのことです。
「これまでと同じことをやっていくのではなく、大きな飛躍の年にしたい。チャレンジングな数字ですが、決して不可能ではないと思っています。これぐらいの目標を掲げて、リーグワンを引っ張っていく思いでやります」と、荒岡社長は意欲を表わしました。

 続いて、星野明宏プロデューサーとリーチマイケル選手から、「アジアプロジェクト構想」についての説明がありました。
星野プロデューサーによれば、「リーチマイケル選手がアジアで行なっている様々な活動を、東芝ブレイブルーパス東京との共同プロジェクトとし、アジアのラグビーにより貢献するプログラムを立ち上げます」とのことです。
 リーチ選手は日本代表候補の合宿中のため、動画でメッセージを寄せました。
「日本ラグビーの発展を考えると、アジアに触れないわけにはいきません。日本には自分たちがやってきたこと、知識、経験をアジアに広げる責任があると思っています。具体的には、アジアの選手やコーチを呼んで、自分たちのメソッドをレクチャーして、ラグビーの発展に貢献したいと思っています。これからたくさんのいい選手が来ることによって、アジアの選手もレベルアップして、お互いにとっていい経験ができる。アジアプロジェクトへの応援を、よろしくお願いします」

 さらに、書道家の武田双雲さんの書き下ろしによるチームスピリット「猛勇狼士」が発表されました。薫田真広GMは「猛勇狼士を浸透させるために、日本一の書道家と言われる武田さんに書いてもらいました。この字に恥じないように、成長していきたい」と、喜びを交えて話しました。会見に出席した武田さんは、「東芝ブレイブルーパス東京さんのこれからの活躍に、心が躍る気持ちで筆を走らせました」と、笑顔で語りました。
 武田さんの筆によるチームスピリットは、練習を終えたトッド・ブラックアダーHC以下スタッフと選手たちにも公開されました。選手たちからは「おお~」という歓声が上がりました。
 取材に応じた德永祥尭共同主将は、「気合いが入ります。日本一の書道家に書いていただいたので、それに恥じない集団になりたいと再認識しました」と、気持ちを引き締めていました。トッドHCは「パワフルですね。あの文字に込めてもらったものをすごく感じました。私にはそれを選手たちに表現してもらう責任があります」と話し、「一番タフな仕事は私かな」と笑みを浮かべました。

 チームは練習を重ねており、德永共同主将は「練習量も増えているし、質も高いです」と話しました。新シーズンの大きな飛躍を誓って、トッドHC以下スタッフと選手、それにフロントスタッフが、それぞれの立場でハードワークをしています。(ライター:戸塚 啓)


東芝ブレイブルーパス東京では、ファンの皆さまにクラブのことをより知っていただくために、今シーズンからライターの戸塚啓さんにご協力いただき、様々な物語を発信していく予定です。
【物語りVol.1】 チームスピリット「猛勇狼士」に込めた想い
【物語りVol.2】荒岡義和 「ただただ、悔しかった」

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