小川 高廣 | SH

TAKAHIRO OGAWA

小川 高廣
小川 高廣
ニックネーム たか,たかひろ,アゴス
生年月日 1991/3/18
身長(cm) / 体重(kg) 170cm / 77kg
足のサイズ(cm) 26.5cm
出身地 福岡県
星座 うお座
血液型 A型
略歴 東福岡高校日本大学
代表歴 日本代表(2)セブンズ
在籍年数 11

小川 高廣物語

※この物語は2022-2023シーズンにインタビューした内容です

 性格はシャイだ。取材前も「こういうのは苦手なんです。語彙が多くないので」と、申し訳なさそうに頭を下げる。
 もっとも、控え目なのはピッチ外に限られる。ラガーマンとしての小川高廣は、東芝ブレイブルーパス東京の頼れる共同キャプテンだ。日本代表キャップを持つスクラムハーフとしてのスキルは高く、チームに対する熱い思いを胸に秘めている。
 強い「東芝」と、苦しむ「東芝」を知る。
 2013年に東芝ブレイブルーパス入りし、1年目からコンスタントに試合に絡んだ。パナソニックワイルドナイツとのプレーオフトーナメント準決勝で先発し、同一カードとなった日本選手権決勝でも背番号9を着けた。トップリーグで上位を争った14―15シーズンと15―16シーズンも、小川はチームの中心にいた。
 ところが、日本ラグビー界の名門クラブは、翌シーズンから迷宮をさまよう。トップリーグで9位、6位、11位にとどまり、コロナ禍の明けた21年シーズンも9位に終わった。
「15-16シーズンに順位決定トーナメントで準優勝して、翌シーズンは9位に終わってしまって。その頃から、タケさんとTTさんとご飯に行って、『この状況をどうしたら変えられるか』をめっちゃ話したのを覚えています」
 現在はスタッフに名を連ねるタケこと宇薄岳央、TTこと高木貴裕らの経験者と、チームの再建を真剣に議論する日々を過ごした。その一方で、小川自身は高評価を受けていく。

 16年11月のアルゼンチン戦で日本代表初キャップを獲得し、同年末にはスーパーラグビーに参戦するサンウルブズのスコッドに選出された。17年4月の韓国戦にも出場した。
 国際舞台に立つ機会を得ても、気持ちはどこか満たされない。
「ブレイブルーパスをどうにかして立て直したいと、ずっと考えていました。他のチームから誘われたこともありましたけど、移籍なんて考えられなかった。チームを弱くしたまま離れるなんて、そんなことできるはずがない。ホントにいいチームだし、メンバーを見ればそんな順位で終わるはずがない、と思っていました」
 チームの再建に心を砕く男は、トディことトッド・ブラックアダーのヘッドコーチ就任とともに共同キャプテンに就任する。
「実はトディの前の瀬川監督のときに、ちょっとだけひとりでキャプテンをやった時期があるんです。瀬川監督がキャプテンを誰にするのかを選手たちに任せるみたいな感じで投票をして、僕が1位になったんです。で、19年にカップ戦を戦ったあとにトディがきて、トク(德永祥尭)がFWリーダー的で、バックス側の自分はそのままの流れで共同に、という感じで受け止めていました」
 共同キャプテンの立場については控え目に語るものの、チームを変えるための働きかけは欠かさなかった。ミーティングなどでは「自分たちはできる。自信を持って戦おう」と繰り返し訴えた。
「トディの1年目に神戸製鋼にボロ負けしたんですけど(注:0対57)、試合前から『勝てねえ』みたいな雰囲気がありました。結果的に負けましたけど、後半は盛り返した(注:前半は0対40、後半0対17)。試合後に話をしたら、『試合前は勝てると思えなかったけど、やってみたらいけたね』と言っている選手がいて。最初っからそう思ってやろうよ、と」

 トディとともに3年間積み上げてきたラグビーに、小川や德永らのリーダーシップが輪郭をもたらしていき──リーグワン初年度となった2022シーズン、東芝ブレイブルーパス東京は6シーズンぶりのトップ4入りを果たした。
「やっとトンネルを抜けたというか。その結果を受けて、みんなが『いけるぞ』と思ってくれているだろうから、それがまた沈まないように、自信を持った状態へチームを持っていければ、と」
 小川自身も好パフォーマンスを維持した。キャリア初となるベストフィフティーンに選出され、シーズン後の22年5月に日本代表候補にピックアップされる。6月のウルグアイ戦で、3つ目のキャップを獲得した。
「自分のパフォーマンスについては、チームに引っ張られた感じです。チームが良くなったから自分も、という。特別なことはホントにしていなくて、マインドとしても自分の強みを発揮しようというよりは、チームの戦略をしっかり遂行することを意識しています。あとはタックルです。共同キャプテンとしても身体を張っていかないと、発言に力がなくなる。そういうことを心掛けてやっていったら、結果的にパフォーマンスが良くなったという感覚です」

 強い「東芝」を取り戻すとの気持ちは、小川にとって何よりのモチベーションであり、どんな時でも揺らがない芯となっている。「強い東芝を取り戻さないまま引退するなんて、自分としてはあり得ない」と、語気強く繰り返す。
 ただ、「チャンピオンになりたい」とは言わないのだ。「それは当たり前なので」と前置きをして、本心を明かした。
「リーグワンという新しいリーグで、自分たちが一番面白いラグビーをやっているという自覚を持っています。取材などではそういうところを見せていきたい、と答えるようにしているので、チャンピオンになりたいとは、あまり言わない感じになっていますね」
 ラグビーをやっているうえでのモチベーションを問われると、それまでとまったく違う表情を見せた。「いまでも十分に分かっていると思うんですけど、6歳の娘にもっと見せたいんです」と、少し恥ずかしそうに笑う。愛娘を愛する31歳の父親がいた。 
(文中敬称略)
(ライター:戸塚啓)

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