滝田 陽介 | ヘッドアスレティックトレーナー

YOSUKE TAKITA

滝田 陽介

ニックネーム タッキー
生年月日 1983/8/4
出身地 東京都
星座 しし座
血液型 B型
略歴 仙台大学日本鍼灸理療専門学校
代表歴 -
在籍年数 11

滝田 陽介物語

 選手たちから揺るぎない信頼を寄せられている。「タッキー」の愛称を持つヘッドアスレティックトレーナーの滝田陽介は、東芝ブレイブルーパス東京に欠かせないスタッフだ。
 東芝ブレイブルーパス東京とのつながりは、偶然にも似た縁がきっかけだった。あるいは、学びの意欲が引き寄せた必然だったのかもしれない。
「高校卒業後にトレーナーの専門学校に入り、2年間勉強しました。卒業後すぐに現場に立てるかというと、難しいなというのが僕の感覚でした。もう少し勉強したい気持ちがあり、専門学校から仙台大学へ編入して運動学などを学ぶことにしました」
 滝田の編入と同じタイミングで、石山修盟が体育学部の準教授に就任した。ラグビー日本代表のトレーナーを長く務めた人物で、東芝ブレイブルーパス東京の薫田真広GMの知己だった。
「薫田さんが日本代表のキャプテンをやっていた当時のトレーナーが、石山先生だったそうです。大学3年、4年時にU21・U23日本代表の活動があり、薫田さんが監督で石山さんがトレーナーでした。私も参加させてもらいました。その後もインターンシップで東芝ブレイブルーパス東京に3年間お世話になりまして、2011年度から正式にスタッフとして迎えていただきました」

 在籍12年目を数える。選手を勇退してスタッフ入りしている薫田や望月雄太、宇薄岳央や高木貴裕らを除くと、在籍年数は最長だ。
「私たちのアスレティックトレーナーの仕事は選手の健康管理と言いますか、ケガをしている選手ならトリートメントやリハビリをして、グラウンドレベルへ戻ることをサポートします。また、プレーはできるけれど疲労が溜まっているとか痛みがあるときなどに、よりよい状態にするといったことが仕事です」
 痛みの受け止めかたは、選手によって様々だ。痛みを抱えながらでも試合に出たい選手がいれば、出場に慎重な選手もいる。滝田は一人ひとりの気持ちに寄り添い、想像力を働かせる。
「僕は神の手を持っているわけではないので、選手とコミュニケーションを取ったりするなど、観察するようにしています。自分が直接喋っていなくても、他の人と話しているところを見たりもして。おかげさまで長く在籍させていただいているので、選手のキャラクターを知っていることは、自分の強みかなと思っています。『いけます』と言っても実際はすごく我慢している選手には、気をつけなきゃいけない。逆に、いけないと言っているけれどやりかた次第でいけるのでは、ということもあります。選手のキャラクターを踏まえながら、適宜判断をしています」

 一人ひとりのキャラクターを踏まえつつ、その選手のチーム内での立場も考慮する。選手との接しかたにマニュアルはなく、トレーナールームでは選手の本音をそっと受け止める。
「なかなか試合に出られずに苦しんでいる選手と、常時試合に出ていて調子のいい選手では、やはり違うところがあります。トレーナールームでトリートメントをしていると、選手は監督やコーチに言えないことも漏らしますが、話してすっきりして翌日からまた頑張るのならそれでいい、と僕は思っています」
東芝ブレイブルーパス東京の現場スタッフは、薫田GMを筆頭に20人を超える。滝田が初めてスタッフ入りした11年度は、部長以下10人の体制だった。
「昔はS&Cもトレーニングコーチもいませんでした。もっと言えば、私が入ったときは通訳もいませんでした。みんなでコミュニケーションを取り、協力をしながらやっていく感じで、どちらかというとジェネラリストみたいな感じでしたが、スタッフが増えてスペシャリストとして仕事を任される感じに変わってきています」
 アスレティックトレーナーは、滝田を含めて3人である。チーム内における立ち位置を踏まえ、滝田は自身の仕事と向き合っている。
「2022年度からトレーナーは3人体制になりましたが、スタッフのなかでは勝敗に関わる可能性が一番小さいというか、1パーセントぐらいでしかないと思うんです。その1パーセントに対して、しっかりとコミットしてできることをやることに、僕はプライドを持っています。1パーセントだからこれぐらいでいいかな、というような考えを持たないのは僕のこだわりであり、やり甲斐にもつながっています」

 現場の最前線で仕事を続けてきたが、理論のアップデートは欠かせない。積み上げた経験や過去の学びに、寄りかかることはないのだ。
「単純作業でもクオリティやスピードを追求していくのと同じで、どんな仕事でも向上する努力をしていかないと、同じ状況を維持することさえ難しいと僕は思っています。つねに学び続けて、努力して、始めて次がある、という気持ちでいます」
東芝ブレイブルーパス東京への愛着は、携わった時間の長さだけ深く厚くなっている。同時に、難しさも感じている。
「若い頃なら『これがチームのためだ』と思って意見できたものが、在籍年数が長くなって発言しやすくなっているので、いつ、どこで、何を言うのかには気をつけるようにしています。最近は『これはいま発言するべきだろうか』と、悩むことのほうが多いですね」
 発言に気を配るのも、チーム愛の表われだろう。あるいは、正しい緊張感をしっかりと保っている、ということだ。
「ずっとトップ4に入っていた時代にこのチームに入ってきて、近いうちに優勝を経験できるのかなと思ったらなかなかできなくて、2022年シーズンに久しぶりにトップ4入りしました。チームが勝てばもちろん嬉しいし、優勝したい気持ちはありますけれど、そのために頑張っているというよりも、選手たちに少しでもいいものを提供したい気持ちが強い。繰り返しになりますが、僕の仕事は勝利に1パーセント関わるかどうかなので、勝敗に一喜一憂するのではなく自分にできることをしっかりやる。そちらのほうが、僕はプライオリティが高いんです」

 プロフェッショナルとしての彼のスタンスに、多くの選手たちが共鳴し、全幅の信頼を寄せる。長期の戦線離脱を経験した選手は、「タッキーさんがいなかったら、リハビリに耐えられなかった」と口を揃える。
 最高のコンディションでピッチに立ってもらうために。
すり減ったり、ちぎれたりした心を、元どおりに再生するために。自らの時間を削ってでも、滝田はチームにコミットする。

(文中敬称略)
(ライター:戸塚啓)

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