【物語りVol.7】「世界有数のユニーク」さが具体的に

リーグワンで初めてプレシーズンマッチを有料開催

 10月19日、東芝ブレイブルーパス東京は定例記者会見を開きました。過去2度の会見で伝えられてきた「世界有数のユニークなラグビークラブを目ざす」という方針が、いよいよ具体化しています。
 最初に、荒岡義和社長から発表がありました。
「今シーズンはチームスピリットとして『猛勇狼士』を、我々フロントスタッフはクラブスローガンとして『知の狼』を掲げています。ファンの皆さんを家族としてとらえていますが、一般にファンと言うとチームと距離があるというか、家族になってもらうためにもどういう呼びかたがいいのかを考えたときに、『BRAVER/ブレイバー(勇敢なる者)』がいいだろうと考えました。チーム名のブレイブルーパスにも、猛勇狼士の『勇』にもかかっていますので、この名称を使ってみなさんにお声がけをしていこうと思います」
荒岡社長は続けて、「今シーズンはチームグッズに力を注いでいきます」と話しました。その目玉商品となるのが、選手プロデュースのグッズです。
「デザインなどにすごい才能を持った選手がいるので、我々ならではのユニークなグッズを作ろうと、いま色々なアイディアを出しています。そうしたグッズを、11月以降にECサイトで販売する準備をしています。また、ファンクラブの特典には、選手がデザインしたオリジナル非売品グッズのプレゼントが含まれています」
さらに11月をイベント月間とし、12日、19日、26日に東芝府中グラウンドを舞台とするプレシーズンマッチが、観客を入れた有料試合で行なわれます(注:無料の招待自由席もあり)。
天然芝の張替えが終わり、観客席が1000席に拡張された新たなグラウンドを、広く一般にお披露目する機会です。リーグワンのクラブが主管となり、クラブが保有しているグラウンドを使用しプレシーズンマッチを有料で行なうのは初めてになります。
 荒岡社長は「とにかく至近距離で選手が見られます。スクラムやタックルや、骨のきしむ音が聞こえるようなところで観戦できる、またとない機会です」と話し、様々なイベントも用意されます。
「有料で入場していただいた方には、選手との写真撮影、トッド・ブラックアダーHCの円陣トークを近くで体験してもらいます」
 プレシーズンマッチを有料で開催することについては、選手も前向きに受け止めています。
德永祥尭共同主将は「リーグワンより観客のみなさんと触れ合える時間は長いと思いますし、距離も近いと思うので、有料にしてもいいと僕自身は思っています。僕ら選手は『お金を払って来てくれている人たちを楽しませよう』というプロ意識を磨く、いいきっかけになると思います」と語りました。
小川高廣共同主将も、「自分たちのグラウンドで、ファンのみなさんと触れ合えるのは楽しみ。積極的に交流していきたいです」と、11月の3試合を楽しみにしているようでした。

■アカデミー部門でもラグビー界初の試みが続々!

 荒岡社長に続いて、薫田真広GMがマイクを握りました。
「プレシーズンマッチでは、ブレイバーのみなさんから熱をいただきながら、ともにパッションのあるゲームを、ラグビーの醍醐味を、新しくなったグラウンドをはじめとしていたるところでお見せしていきたい」
 さらに、アカデミー部門のユニークな試みを明かしていきます。ここから先は、星野明宏プロデューサーが引き取ります。
 ひとつ目は、バディスポーツクラブとの連携です。同クラブには未就学児から小学6年生まで約8000人の生徒が在籍しており、多様なスポーツに触れ合っています。そのなかに、ラグビーが加わることになりました。準備段階をしっかり確保するために、スタートは来年4月予定となっています。
「ラグビーは習い事として、人が成長していくうえで必要なことが学べます。私たちがラグビー界を代表として、バディさんに飛び込んでいきたい」
 ふたつ目は、日本テレビが運営する『ドリームコーチング』との連携です。アスリート派遣のマッチングサービスである『ドリームコーチング』には、陸上や水泳などの五輪アスリートや元プロ選手がコーチに名を連ねています。東芝ブレイブルーパス東京はチーム単体として、初めて参加することになりました。
 星野プロデューサーによると、実施場所は東芝府中グラウンドを想定し、レベルや年齢は問わないとのことです。「ラグビーのスキルアップをしたい個人の方、数名のグループ、また部活動やクラブのチーム全体のお申込みも受け付けております。チーム練習や部活に、こちらからお邪魔する出張プランも全国展開できたらと、日本テレビさんと相談をしています」と、構想の内容が明かされました。
 東芝ブレイブルーパス東京は、すでに小中学生を対象としたルーパス塾を運営しています。それに加えて、バディスポーツクラブとドリームコーチングとの連携することで、どのような未来を描くのか。星野プロデューサーはこう語ります。
「ラグビーを知ってください、東芝ブレイブルーパス東京を知ってくださいという活動をしながら、この世の中にラグビーが必要と思っていただく、それがラグビーに関わる者の使命だと思っています。今回の連携はどちらもラグビー界初の試みなので、ラグビー界全体にとって良き活動となるように頑張っていきます」

■独自ルールを設けたルーパスカップを開催!!

 この日三つめの話題は、「ルーパスカップ」です。採用とアカデミーを担当する望月雄太氏と、大野均アンバサダーが登壇しました。
 ルーパスカップは小中学生の大会で、ワールドラグビーの「5大憲章」をもとにした独自のルールを設定し、子どもだけでなくコーチ、保護者らすべての参加者を育てる機会と位置付けます。キャッチフレーズは「紳士・淑女の種を育てる大会」です。
独自ルールは以下の6つです(カッコ内はワールドラグビー5大憲章)。
① 作戦はコーチではなく子どもたちで決める(結束)
② コーチ・親は子どものプレーを怒らず褒める
③ 親は子どもの良いプレーをその場で書き留める(情熱)
④ 毎試合後に対戦相手と5分間の感想戦を行なう(品位)
⑤ 対戦した相手とチームを組みミックス戦を行なう(結束)
⑥ 最後に参加者全員で「挨拶とルーパス締め」を行なう(規律)

どれも興味深いものですが、ここでは③に触れます。望月氏の説明を聞きましょう。
「保護者のみなさんにメモ帳を配り、1ページにひとつ、『ナイスタックル』とか『良く走った』などを書いてもらいます。それをもとに、帰り道に振り返りをしてもらいます。子どもたちにとっては、いいことをたくさん言われるすごくいい日になるでしょうし、いいことしか書いていないメモ帳をもらったら、モチベーションも上がるでしょう。ポジティブなメモ帳を、保護者に作成してもらいます」
 ルーパスカップには、大野アンバサダーも参加します。
「子どもたちには新しい天然芝と、選手たちが日々練習している人工芝で、大いに躍動してもらいたいと思っています。独自ルールの4つ目にある感想戦には、私もファシリテーターとして参加します。また、ミックス戦ではひとつのチームを率いて、大会を盛り上げていきたいと思います」
 第1回目のルーパスカップは、11月12日、19日、27日に行なわれます。12日と19日はプレシーズンマッチ前の開催で、12日は小学5、6年生、19日は小学1年生から4年生です。中学生はグラウンドを広く使うので、プレシーズンマッチとは切り離して27日の開催となります。

■小川・德永共同主将はチームの仕上がりに手応え

 定例記者会見の最後には、共同主将の小川選手と德永選手もマイクに向かいました。現在のチーム状況を語ってくれました。
 德永選手は「プレシーズンマッチを2試合終えて、レビューのクオリティが上がっています。ここまで2、3か月練習をやってきましたが、いつも以上にハードなトレーニングで、すごくきつかった。コンタクトレベルがすごく上がっている」と、チームのレベルアップを実感しているようでした。
 小川選手は今シーズンの抱負を聞かれ、引き締まった表情を浮かべました。
「もちろん優勝というのはありますけど、昨シーズンはベスト4に入ってプレ―オフに行くことができて、これからずっとそのステージで戦えるチームになっていかなきゃいけないと思います。リーグワンのなかでも一番激しくて、面白いと思ってもらえるような試合をやっていきたいですね」
 激しいトレーニングが行なわれているということで、德永選手は「テクニックの部分はもちろん磨いていかないといけないですけど、自分たちのコンタクトに対して自信を持ってやっていきたい。そこで生き残った選手がスタートを取れるんじゃないか。それぐらい、みんなでハードにやりあっています」と力強く語りました。

 チームも、フロントも、ユニークさを目に見えるものとして実現しています。東芝ブレイブルーパス東京の今シーズンが、ますます楽しみになってきました。
(ライター:戸塚啓)

※それぞれの項目の詳細につきましては、HP上に随時アップされる情報をぜひご確認ください。


■東芝ブレイブルーパス東京【物語り】
東芝ブレイブルーパス東京では、ファンの皆さまにクラブのことをより知っていただくために、今シーズンからライターの戸塚啓さんにご協力いただき、様々な物語を発信しています。
【物語りVol.1】 チームスピリット「猛勇狼士」に込めた想い
【物語りVol.2】荒岡義和 「ただただ、悔しかった」
【物語りVol.3】それぞれの立場でハードワークを
【物語りVol.4】 ワーナー・ディアンズ「準備してきたものをやるだけ」
【物語りVol.5】 リーチ マイケル「勝つことばかり考えています」
【物語りVol.6】湯原祐希 FWコーチ

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